アメリカ大統領選挙

2019.05.26

これまでも何度も書いてきたように、アメリカの大統領選挙は、新しい大統領が決まるやいなや、次のラウンドが始まります。

もちろん候補者が名乗りを上げ始めるのは中間選挙が終わってからでしょうけれども、次の大統領選挙に向けて、指名選挙に関する新たなルール作りが始まります。

1972年には、民主党内でこのルール作りの責任者だったジョージ・マクガバンがそのルールを大いに活用して民主党の大統領候補としての指名を獲得したこともあるほど、実はルールは重要です。

共和党では現職のトランプ大統領の指名が確実視されていますが、民主党は大混戦です。

その民主党では、大きなルール変更が行われています。

一つはカリフォルニア州をはじめ、多くの州で予備選挙の日程が繰り上がり、スーパーチューズディのように複数の州で同時に予備選挙が行われるようになります。

特に資金力がものをいうカリフォルニア州の予備選挙が3月に繰り上がるのは、最初の知名度が低く、予備選挙を勝って支持を広げていこうというオバマ型を目指す候補者には痛手です。

バイデン前副大統領のように最初から知名度があり、資金力がある候補者が俄然有利になります。

さらに民主党の知事、連邦の上下両院議員、民主党全国委員会の幹部などからなるスーパーデレゲートと呼ばれる代議員の扱いが変わりました。

前回は当初から有力視されていたクリントン候補がこのスーパーデレゲートの支持を最初からかき集め、大きくリードしたのですか、今回はそうはいきません。

もし特定の候補が、各州の予備選挙や党員集会を通じてスーパーデレゲートを除く代議員の50%+1票を獲得した場合には、党大会の第一回投票で、スーパーデレゲートは投票することができなくなりました。つまり、その候補が指名を獲得するということです。

もしどの候補も予備選挙や党員集会を通じてスーパーデレゲートを除く代議員の50%+1票を獲得できなかった場合、ある候補者がスーパーデレゲートの支持を加えて全代議員の50%+1票を獲得していれば、スーパーデレゲートは党大会の第一回投票で投票をすることができる。つまり、その候補が指名を獲得します。

もしどの候補者もスーパーデレゲートを除く代議員の50%+1票を獲得できず、さらにどの候補者もスーパーデレゲートを入れた全代議員の50%+1票を獲得できない場合、スーパーデレゲートは党大会の第一回投票では投票が許されませんが、第二回投票以降は投票をすることができます。

スーパーデレゲートの支持がなくとも、各州の予備選挙や党員集会で代議員の過半数を集めてしまえば、それで指名を獲得することができるようになりました。

もう一つの大きなルール変更は、代議員を党員集会(コーカス)で選んでいた州の多くが予備選挙(プライマリ)に切り替えたことです。

全米に先駆けて党員集会を行うことで有名なアイオワ州は2020年にも党員集会を行います。そして、やはり早い段階で党員集会を行うネバダ州も党員集会を行うことを決定していますが、その他に党員集会を維持するのはワイオミング州ぐらいで、党員集会は前回の14州から3州に減ることになりました。

党員集会は、決められた時間に決められた場所に集まり、数時間かけて代議員を選びます。

他方、予備選挙は、投票日の都合のいい時間に投票所に出かけて投票するだけ。場合によっては郵便投票や期日前投票ができます。

つまり支持する候補者のために何時間でも使ってもよいという熱狂的な支持者を多く抱えている候補者にとっては党員集会は都合の良いルールですが、予備選挙では、知名度やなんとなくの好感度が高い候補者が有利になります。

例えば2016年に党員集会と予備選挙の両方を行ったネブラスカ州とワシントン州では、党員集会ではサンダース候補が勝ち、予備選挙ではクリントン候補が勝っています。

つまり、バーニー・サンダース候補のような熱狂的な支持者を抱えた候補者よりバイデン前副大統領のような好感度の高い候補者が有利になります。

しかも今回、党員集会から予備選挙に切り替えたすべての州で、前回、サンダース候補は勝利を収めています。今回のルール改正は、サンダース候補にとっては痛手です。

こうしてみると民主党の指名競争のルールは、バイデン前副大統領に有利になってきたといえるようです。

参考資料
frontloading.blogspot.com
fivethirtyeight.com



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