為替スワップ
2018.11.24
日中間の為替スワップとかつての日韓間の為替スワップを混同している声があるので、説明します。
為替スワップには二種類あります。
一つは今回の日中間の為替スワップのように、日銀法第四十条一項に基づき、信用秩序を維持するために、中央銀行間で結ぶもので、現地通貨同士のスワップが対象になります。
例えば、中国における日本の金融機関の人民元での資金決済に資金ショートなどの不測の事態が生じて、それが我が国の金融システムの安定を損ないかねない時に、このスワップ取極を活用して日銀が中国の中央銀行との間で円と人民元をスワップし、その人民元を日本の金融機関に供給します。
もう一つは、国際収支や短期資金の流動性の困難への対応又は危機予防のためのスワップ取極で、日本の財務省が相手国の中央銀行と結ぶもので、相手国通貨と米ドルまたは円をスワップするものです。
チェンマイイニシアチブ、かつての日韓間の為替スワップや、シンガポール、フィリピン、タイ、インドネシアとの間の為替スワップがこれに当たり、通貨危機を防止するためのマーケット対策などで外貨準備を積み増したり、実際の危機に当たっては短期資金の流動性を確保するために使われます。
日本銀行が、財務大臣からの要請に基づき、日銀法第四十条三項に基づき行うものもこの種類のものですが、現在はそうした要請に基づくスワップは行われていません。
今回の日中為替スワップとかつての日韓間の為替スワップを混同している声もありますが、この二つのスワップは目的が違うため、第四十条一項で結んだスワップ取極を第三項の目的に使うことはできませんし、その逆もできません。