河野外交が目指すもの

2017.10.15

外相就任以来、外相会談を60回、これに多国間会合等も含めると合計106回もの会合をこなしてきました。海外出張も、マニラでのASEAN関連外相会合、ワシントンでの日米外務・防衛大臣会合(2+2)、モザンビークのマプトでのアフリカ開発会議(TICAD)閣僚級会合、ウラジオストクでの東方経済フォーラム、中東訪問と日アラブ政治対話(カイロ)、そしてニューヨークでの国連総会と世界を駆け巡ってきました。

日本の外交が直面する課題のなかで、私が特に取り組みたいもの、取り組まなければならないものが六つあります。

第一は、もちろん北朝鮮の核とミサイルの問題の解決です。北朝鮮を核保有国として認めて、共存を図るために交渉すべきという意見もありますが、日、米、韓、中、露、すべての国が朝鮮半島の非核化を目指しています。

強固な日米同盟を基盤として、韓国や中国、ロシアとしっかり連携し、北朝鮮の核とミサイルを放棄させる努力をしていきます。

第二は、中国、韓国、ロシアといった近隣諸国との関係の強化です。北方領土や歴史認識、軍拡といった様々な問題がありますが、お互いの努力で良好な関係を築き上げていく必要があります。

特に日本と中国は世界第二、第三の経済大国です。日中両国が、二国間の問題に取り組むだけでなく、肩を並べて気候変動のような地球規模の問題の解決に取り組んでいくべきです。

ロシアとは、北方四島での共同経済活動といった新しいアプローチを進めつつ、北方領土問題を解決し、ロシアとの平和条約を結ぶために前進していきたいと思います。

第三が、中東への関与の強化です。

日本は、イスラム教やユダヤ教、キリスト教といった中東の宗教のいずれとも特定の関係になく、中立的な立場を取れます。歴史的にも植民地化の過去がありません。エジプトのエルシーシ大統領が、日本人は「歩くコーラン」だと語ったことがあるように、日本人の価値観はアラブの価値観と似たところがあります。

日本と中東の関係は石油や天然ガスと自動車を中心とした貿易が中心でした。しかし、パレスチナをはじめアラブ諸国への日本からの支援は地域で高く評価されています。その結果、日本は、サウジアラビア、イラン、そしてイスラエルをはじめ、中東すべての国と極めて良好な関係があります。

そして何よりも日本は、中東で大きな役割をはたしてきたアメリカと同盟関係にあり、率直に話し合いをできる関係にあります。

日本経済に直接的な影響を持ち、アルカーイダやISILといったテロリストを生んだ中東に、経済だけでなく政治でも日本は関与していく必要があります。

私は外相就任以前からヨルダンのアブドッラー2世国王、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子、パレスチナのアッバース大統領をはじめ、中東で人脈を築く努力をしてきました。中東で「河野外交」の特色を出していきたいと思っています。

第四は、軍縮・核不拡散への対応です。

私は初当選以来、軍縮議員連盟のメンバーとして、また不拡散核軍縮国際議員連盟の日本支部長として活動してきました。

唯一の被爆国、日本にとって核軍縮は重要な問題です。しかし、核兵器禁止条約は残念ながらいずれの核保有国も参加せず、また非核保有国の間も分裂させることになってしまいました。

核兵器禁止条約は核の脅威にさらされていないと考えられる中南米、アフリカ、ASEAN諸国、太平洋の島嶼国などの支持を得ています。また、中東諸国は核兵器を保有していると考えられるイスラエルに圧力をかけるためにこの条約を支持しています。

他方、核の脅威にさらされている国々は、この条約に賛成していません。北朝鮮の核から日本や韓国を守るために、米国は核兵器を含むすべての軍事力を使う意思を明白にしています。米国と日本を含む米国の同盟国は、アジアであれば北朝鮮あるいは中国、欧州であればロシアが核兵器を放棄する前に核兵器を禁止することは、抑止力に問題が出ると考えています。

日本は、核保有国も参加する包括的核実験禁止条約や兵器用核分裂性物質生産禁止条約を早期に発効させると同時に、段階的に核保有国の核兵器を削減し、最終的に核廃絶を実現しようとする現実的なアプローチを取ろうとしています。

外相就任以来、私は、日米外相会談の中でティラソン国務長官に米国のCTBT承認を働きかけ、また、国連総会ではドイツの外相と共に「核不拡散軍縮イニシアチブ」の会合を主催するとともにCTBT発効促進会議の議長を務め、安保理の「不拡散」に関する公開討論でも発言してきました。

一朝一夕に解決する問題ではありませんが、核軍縮は外相としての私の大きなテーマです。

第五は、自由貿易の旗手としての立場の堅持です。自由貿易は世界経済を発展させ、拡大してきました。しかし、世界中で格差の拡大や失業、避難民の流入といったことが起こり、保護主義の台頭に繋がってきました。

TPPは単なる自由貿易協定ではなく、アジア太平洋地域における新たな経済ルールを創りあげ、中国などの国家企業を市場経済のルールに適合するものに変えていこうという試みです。その一歩を踏み出す前に米国が離脱してしまったのは極めて残念ですが、米国抜きでもTPPを早期に発効させると同時に、既に大枠合意に至っているEUとの経済連携協定も実現させます。そして、中小企業や農家にも海外の市場にアクセスする道を開いていきます。

第六は、「自由で開かれたインド太平洋戦略」の実現です。

高い経済成長を維持するアジアと資源や潜在的な成長力を持つアフリカを結ぶインド洋から南シナ海、東シナ海、太平洋を経て北米に繋がるインド太平洋地域は、世界経済の成長の源です。

この海を、誰にとっても自由で開かれたものにするためには、米国、インド、オーストラリアとの連携が大切です。さらに、イギリスやフランスといった国々のこの地域への関与を深めていく努力をしていきます。



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