信任状捧呈式

2017.09.06

信任状捧呈式という式典があります。

日本に赴任してくる各国の大使が、天皇陛下に前任者の解任状と自分の信任状を捧呈する式典です。

大使は、これを行って初めて正式な大使として認められます。

この式典では各国の大使が陛下の前に進み出て信任状を手渡すのですが、必ず大臣が一人、侍立します。

信任状捧呈式における侍立大臣の服装は
モーニングコート
ベストの色は黒、
ネクタイの色は無地の銀鼠色
靴は黒のフォーマルな紐付き
という、宮中でのモーニングコートのルールです。

ちなみに女性は
ロングドレス着用、ただしデイドレスも可。デイドレスの場合は膝が隠れる丈が望ましい。
半袖は不可
帽子及び手袋は不要
色や柄については奇抜なものや黒一色は避ける。
アクセサリーの着用は随意
靴についてはドレスにふさわしいデザインであれば可。

今回は南アフリカのサイレンス・ロモ大使とアメリカのウィリアム・ハガティ四世大使の捧呈式で、私が侍立しました。

必ずしも外務大臣が侍立大臣を務めるわけではなく、私も前大臣の時にも一度、侍立しました。

日本の信任状捧呈式では、皇居に参入する際に宮内庁の馬車で参入するのが普通ですが、この数か月、道路工事等の関係で馬車ではなく、宮内庁の特別な車両で大使は参入されています。

現時点では未定ですが,東京駅前の工事が終われば、東京駅の大使控の間から馬車で皇居に参入することになります。

特命全権大使の服装もモーニングコート又はロングドレス、あるいは民族衣装ということになっています。

今回の南アフリカ大使は、豹と牛の皮でできた装いに盾を持つというズールー族の正式な装いでいらっしゃいました。

盾とポール(槍を模したもの)を持っていると信任状を持つことができないので、盾とポールは控室に置いていかれました。

侍立大臣は、捧呈式に先立って坂下門を経て、宮殿南車寄に参着します。

南車寄から休所となる千草千鳥の間(閣僚の認証式の休所でもあります)で、宮内庁長官とともに新任大使をお待ちします。

大使が到着されるとしばし懇談。

その後、まず侍立大臣が正殿松の間に移動して、次のように捧呈式が始まります。

信任状捧呈式の実際

捧呈式に先立って特命全権大使が随員を従え、皇居に参入しました。

宮内庁長官と侍立大臣が正殿松の間に参進して、所定の位置につきました。

式部官長の先導で、天皇陛下がお出ましになりました。

侍従長及び侍従が随従しました。

式部官長の誘導により特命全権大使が御前に参進して、信任状を捧呈しました。

天皇陛下が信任状を侍立大臣にお渡しになりました。

天皇陛下が特命全権大使と握手、御会話なさいました。

随員が順次御前に参進し、謁見・握手の上、退出しました。

特命全権大使が退出しました。

天皇陛下が御退出になりました。

侍立大臣、宮内庁長官が退出しました。

特命全権大使が随員を従え、皇居を退出しました。

一人目の大使の捧呈式が終わると、侍立大臣は休所に戻り、次の大使をお待ちします。

式の時に、天皇陛下は信任状をお受け取りになられると、侍立大臣の方を少し向かれます。

侍立大臣は天皇陛下に近づいて信任状を受け取り、そのまま後ずさりして所定の位置に戻ります。

そのまま式が終わるまで信任状を腰の位置で持ったまま、式の終了まで侍立します。

各大使は随員を最大6名、連れて参入します。

参入後、大使以下、随員も式典の所作を練習しているようです。

辞令をいただくか信任状をお渡しするかの違いはありますが、参進から退出までの所作は、閣僚の認証式の所作とほぼ同じです。

随員の所作を見ていると、きちんとできていたり、間違っていたり、間違ったのに気がついておどおどしたり、見ているこちらもドキドキします。



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