火事場泥棒
2016.05.18
熊本地震の被災地で、5月12日までに45件の空き巣などがあり、そのうち4件5人が逮捕されました。
東日本大震災でも常総の水害でも被災地での窃盗がありました。
こうした「火事場泥棒」は、財産を奪うだけでなく、窃盗におびえるあまり避難が遅れ、人命にもかかわることがありうると、与党内でも強く非難されています。
現在、刑法235条は、「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する」とされています。
さらに盗犯等の防止及び処分に関する法律第3条で、「常習累犯窃盗犯(常習として窃盗を犯した者であって、過去10年以内に窃盗等で3回以上6月以上の懲役の執行を受けたもの)は、3年以上の有期懲役(20年以下)に処する」とされています。
本来ならば、現在の刑法のもとでも「火事場泥棒」にはもっと重い刑罰を科すことができるという声もあります。
しかし、例えば平成25年1年間に窃盗に係る第一審での科刑総数が10,641件、そのうち7年を超え10年以下の懲役となったのは5件、割合にして0.047%です。
5年を超え7年以下の懲役は45件(0.42%)、3年を超え5年以下が755件(7.1%)です。
「火事場泥棒」は卑劣で許し難いものです。被災地域で不安な生活を強いられている方々の安全安心の確保は、極めて重大な課題であり、災害時の窃盗の重罰化については、様々な観点から与党内だけでなく、国会でも活発に議論が行われるべきです。