トランプ降ろし
2016.03.20
アメリカの大統領選挙が誰もが予想しなかった事態へと進むなかで、共和党の主流派がトランプ降ろしののろしを上げはじめました。
こうなると共和党大会までにトランプ候補が指名獲得に必要な代議員数を獲得できるのかが大きな焦点になります。
トランプ候補が必要な代議員を獲得してしまえば、それを降ろすのは難しいでしょう。
しかし、もし、トランプ候補が指名獲得に必要な代議員数に達しなかったら、これまでも書いてきた共和党のルール40(b)が求めている8つ以上の州で代議員の過半数を獲得した候補者のみが指名獲得の対象となるというルールがクローズアップされてきます。
http://www.taro.org/2016/02/%e3%82%b5%e3%82%a6%e3%82%b9%e3%82%ab%e3%83%ad%e3%83%a9%e3%82%a4%e3%83%8a%e3%81%a8%e3%83%ab%e3%83%bc%e3%83%ab%ef%bc%94%ef%bc%90%ef%bc%88%ef%bd%82%ef%bc%89.php
すでにトランプ候補は、アラバマ、フロリダ、ジョージア、ハワイ、イリノイ、マサチューセッツ、ミシシッピ、北マリアナ諸島、サウスカロライナ、テネシーの10州・地域で過半数の代議員を獲得しています。
それに対して追いかけるクルーズ候補はインディアナ、カンサス、メイン、地元テキサスの4州での過半数獲得にとどまり、もう一人のケーシック候補は地元オハイオ州のみで過半数を獲得しています。
これから予備選挙が開かれる州の中には、一位になった候補が代議員を総取りできる州がいくつかあります。
そのなかには代議員わずか16人のデラウェア州なども含まれます。
代議員の数からいえば小さい予備選挙ですが、ルール40(b)に関していえば、ここで勝って代議員を総取りすれば一州にカウントされます。そういう意味で注目されるかもしれません。
トランプ候補が必要な代議員数を獲得できなかったときに、このルールが生きていれば、結局、トランプ候補しか指名の対象にならないということになりかねません。
もしトランプ候補だけが8州以上で過半数の代議員を獲得できたときに、このルールを廃止するとルール委員会が言い出したら、トランプ陣営は大暴れするでしょう。
共和党大会の前に開催されるルール委員会は、党大会の運営や大統領候補の指名に関する全てのルールを決めることができます。
アメリカの50州と首都ワシントンのあるコロンビア特別区、プエルトリコ、バージン諸島、北マリアナ諸島など共和党の代議員を予備選挙・党員集会で選ぶすべての州と地域は、ルール委員会の委員を男女一人ずつ選出することができます。
それぞれの陣営は、このルール委員会の委員に自分の陣営の人間を送りだそうと、それぞれの地域で様々な駆け引きを始めています。
これからの予備選挙だけでなく、こうした動きにもぜひ、目を向けていただきたいと思います。