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電力会社の利権を守る戦い
2014.07.25
電力の自由化は安倍内閣の三本目の矢の目玉の一つだ。
が、電力会社が必死にサボタージュをしようとしている。
例えば楽天リサーチによるインターネット調査によれば、男性の25%、女性の33%が「電気代に関わらず原発を保有する従来の電力会社を選択したくない」と答えている。
数字はともかく、それなりの数の消費者が自由化されれば電力の購入先を変えたいと思っているのはまちがいないだろう。
そこで問題になるのは、携帯電話を乗り換えるようにワンストップで電力会社を乗り換えられるようになるかどうかだ。
専門家によれば、乗り換えは簡単で、自宅の電力のメーターの番号を新しい電力会社に通知すれば手続きは終わるそうだ。
しかし、これに既存の電力会社が難色を示し、なりすましの恐れがあるからきちんと確認ができるようにしないとだめだと主張している。
そもそも現在の電力のメーターは、検針員が確認をするために屋外に設置され、そのために雨風をしのぐためのスペックが必要になっている。
屋外の人の目に触れるところに設置してあるメーターだと、誰でも番号を読み取って、なりすますことができるから、様々な対策が必要だというのが既存勢力の主張らしい。
しかし、現在の通信環境であれば、屋内の配電盤に小さいメーターを設置し、データを飛ばせばよいので、誰でも番号を読み取ってなりすますことができないようにすることは簡単だ。
もう一つの問題は、電力会社が作ろうとしているスマートではないメーターだ。
家庭用を中心とした低圧のスマートメーターを、電力会社はバケツリレー方式、俗にいうマルチホップ方式と呼ばれるものでやろうとしている。
三十分間の電力使用量をはじめとするデータを、次の四時間以内に送りますという仕様だ。
電力消費量のデータが四時間経たないとわからなければ、ピークカットに役立たない。
現状でも大口の高圧のデータは、三十分間のデータを次の三十分の間に送ることができる。
高圧でできることを低圧ではやらないというのはおかしい。
しかも電力会社は、電力の小売り会社に対して電力に関して需要と供給が三十分同時同量になることを求め、そこに差が出てくるとペナルティを課している。
それなのにデータがリアルタイムに取れないシステムをつくろうというのは...。
電力料金の計算は、関東と関西で違う。
関東ではブレーカー値に基づいた基本料金があり、それに従量料金が加わってくる。ブレーカーによって最大電力量が決まる。
関西ではブレーカー値がなく、最低料金に従量料金が加わって料金が決まる。
スマートではないメーターの統一仕様にはブレーカー値が入っていない。電力会社は、今までのやり方を踏襲したいだけで、新しくどんなサービスができるようになるかという視点でスマートメーターの仕様をつくっていない。
電力自由化に必要なスマートなメーター、スマートなグリッドに作り替える必要がある。
経産省は、どうやら電力自由化と言いながら、こうしたことを見て見ぬふりしている。経産大臣は、総理を見ているのか、電力業界を見ているのか。