ピンハネされた税金

2014.05.17

一般社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT)という団体がある。

開発途上国向けのワクチンや医薬品を開発するために、日本の製薬企業とゲイツ財団、そして日本政府が資金を提供して設立した組織だ。

目的は素晴らしい。しかし...

この組織を立ち上げるときに、そもそもまだ設立していない組織に拠出するための予算を財務省に説明するのは大変だからと、外務省(と厚労省)は、まず資金を国際機関に拠出することにして、そこからこの組織に資金を迂回させることにした。

紆余曲折を経てUNDPを経由させることになったらしいが、UNDPは迂回資金に協力するかわりに50%はUNDPに残せと言い出した。

すったもんだしたあげくUNDPの取り分は25%ということになったのだが、なぜ、25%をUNDPがとるのかと追及された外務省は、嘘をつき始めた。

開発された薬やワクチンを発展途上国の現場に使える形で持っていくためには費用が掛かる。UNDPに渡す金額は、UNDPがそのために必要なプロジェクトのコストを積み上げた結果なのだと、苦し紛れの嘘をついた。

たまたま積み上げていったコストの合計が、拠出額の25.00%になったのであって、UNDPに25.00%を渡すと決めてあったわけではないのだそうだ!

挙句の果てに、外務省の担当課は、外務委員会で岸田外務大臣にもそういう虚偽答弁をさせようと答弁を書いた。

事前に岸田外務大臣にこの法人を設立した時に拠出金について役所から説明がありましたかと尋ねると、外務大臣は首をひねっていた。

危ないと思ったので、外務委員会の質問は、入り口でやめておいた。虚偽答弁を大臣にさせるわけにはいかない。

UNDPは、まず迂回資金から25%をとる。そして75%をGHITに送金するときに、その1%を手数料としてとる。つまりUNDPの取り分は25.75%だ。

さらにUNDPは、自分がGHITに資金を提供することになるのだから、そこで得られる知的財産の所有権もよこせと言い出した。おいおい。

このGHITの設立に尽力した武見敬三参議院議員がイギリスの関係者に連絡を取り、UNDPのトップであるヘレン・クラーク氏に説明してもらって、ようやく収まった。

外務省は、この武見参議院議員が努力していることを示す一連の文書を破棄し、外務省の審議官がこれをやったようなことにしている。UNDPもUNDPだが、悪党の上前をはねる外務省も相当だ。

結局、外務省がさぼったために、税金が国際機関にピンハネされた。

UNDPは、25%はGHITが開発した医薬品を発展途上国の現場に届けるデリバリーのためのプロジェクトに使われるし、日本政府がプロジェクトの内容を承認しなければ使えないと説明する。

建前はそうでも、資金を迂回させた外務省は、25%の使いみちがおかしいとは言えない。おかしいと言ったとたんに、なんでそんなところに資金を迂回させたのかと追及されてしまうに決まっている。

本来なら、必要なデリバリーのプロポーザルを国際機関やNGOに出してもらって一番効果的なところを選び、そこに直接、日本政府が資金を提供すればよいはずだ。

無駄撲滅プロジェクトとしては、まずUNDPに支払った手数料相当分はUNDPへの任意拠出金から差し引かせる。

そして、25%の資金の使われ方でおかしいものについてはきちんと止める、もし外務省が止めていなかったらUNDPへの任意拠出金からその相当額を差し引かせるという提案をする。

さらに国際機関へのすべての拠出金を閉会後、時間をかけてヒアリングする。

長い夏になりそうだ。



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