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自民党は霞が関の焼け太りを防げるか
2013.10.30
公務員制度改革の法案が内閣官房から出てきた。
はっきり言って骨抜きだ。
2009年に当時の自民党政権が提出した法案と比べても、内閣人事局への機能移管が不完全だし、国家戦略スタッフもなくなった。
2009年法案には書かれていた総理主導の公募制度と数値目標もなくなった。
さらに、自民党が野党時代に提出した幹部公務員法案に規定していた幹部公務員の降格制度も極めて限定的なものに戻された。
つまり、2009年当時に霞が関が嫌がっていたものが全部なくなってしまった。
しかし、最悪なのが「官民交流制度を拡大します」という、厚さ1センチの要綱・法案・新旧対照表の中に隠された毒薬だ。
官民交流というのは、現役出向と同じで、もともとは若い官僚を民間企業に出していろいろと勉強させるための制度だ。
それが民主党政権になって、天下りの代替策となった。
若い官僚ではなく肩たたき寸前の官僚を民間に出し、一時は役所に戻ってくるが辞めた後、そこに舞い戻って就職するという天下りもどきだ。
今回の公務員制度改革の中に官民交流法の一部改正なるものが紛れ込み、この新「天下り」を拡大しようという条文が盛り込まれている。
公務員制度改革の法案に、官民交流の拡大が盛り込まれているという情報を得て、29日の午後五時に党本部の望月行革推進本部長の部屋に内閣官房を呼ぶ。
説明はしどろもどろ。
しかし..
ここで法案を修正していると、この短い臨時国会での審議に間に合わなくなる。そうなると喜ぶのは反対派と人事院だ。ここは涙をのんでこの法案でやるしかない、という声が上がる。
しかし、内閣委員会には、この法案以外に国家戦略特区法案もかけられる。特区法案をこの臨時国会で通さなければ、いよいよ三本目の矢が危なくなる。だからここで公務員制度改革法案を出しても、審議できない可能性が高い。だから焦らず、まともな公務員制度改革をやるべきだ。
が、このなんちゃって法案にさえ自民党の参議院の中では反対が強い現状では、これでやるしかないという判断が下される。
30日の午後2時、行革推進本部と内閣部会の合同会議に、厚さ1センチの要綱・法案・新旧対照表が提出され、内閣官房が自分に都合の良い説明を10分ほどしたところで議論になり、3時前に法案の承認が求められる。
現在の自民党の事前審査では、法案をきちんと読んで問題点をあぶりだすことができない。結局、法案に霞が関が潜り込ませたいろいろなトリックがそのまま通ってしまう。
延々と受け継がれた法案審査の自民党方式は、事実上、東京電力している、いや、破綻している。この法案審査わずか一時間という形骸化された事前審査のおかげで国会の審議も形骸化され、霞が関の焼け太りを政治が防ぐことができない。
国会改革と同時に、与党の法案審査も改革し、国会で真の議論が行われるようにしなければならないし、国会の採決で、議員一人一人の賛否が記録されるようにしなければならない。
(官民交流について、続く)