自民党の原発政策

2012.11.23

自民党の臨時総務会で政権公約が承認され、発表されました。
かつては原発推進一本槍だった自民党も、この政権公約では原発政策を大きく変えることになりました。
もちろんまだ100点ではありません。しかし、原発利権をひたすら擁護していた、以前のマイナス点しかつかないような政策から大きく目指す方向を変えつつあります。
たぶん、今回の政権公約のエネルギー政策は、70点はつけられるのではないかと思います。
以下、自民党の政権公約のエネルギー部分を解説します。
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エネルギー政策の安全第一主義の徹底
 東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所の事故は、その甚大な被害によってわが国だけではなく、全世界に放射能の脅威を示すこととなりました。
 これまで原子力政策を推進してきたわが党は、このような事故を引き起こしたことに対してお詫びするとともに、今なお被災されている方々に対して心よりお見舞いを申し上げます。
自民党が、政権公約の中で初めてこれまでの原子力政策の非を認め謝罪をしました。
 今後のエネルギー政策の根本に「安全第一主義」(テロ対策を含む)を据え、特に原子力政策に関しては、権限、人事、予算面で独立した規制委員会による専門的判断をいかなる事情よりも優先します。

福島に津波は来ないという想定がなされていたように、原発にはテロリストは来ないという想定で、再稼働などが行われています。自民党は、テロ対策も含む安全対策が行われねばならないということを明確にしました。

当面のエネルギー政策
 全てのエネルギーの可能性を徹底的に掘り起こし、社会・経済活動を維持するための電力を確実に確保するとともに、原子力に依存しなくても良い経済・社会構造の確立を目指します。
原子力比率50%などと言っていた自民党が、原子力依存からの脱却を目指すようになりました。まだ「脱原発」というよりは「脱原子力依存」です。しかし、大きな方向転換であるのは間違いないと思います。
 そのため、当面の最優先課題として、3年間、再生可能エネルギーの最大限の導入、省エネの最大限の推進を図ります。
昨年、菅政権が提出したいいかげんな再生可能エネルギーの固定価格買取制度の法案を自公で修正し、成立させました。再生可能エネルギーそのものの可能性とそれがもたらす新しい産業の可能性を徹底的に追及します。
 原子力発電所の再稼働の可否については、順次判断し、全ての原発について3年以内の結論を目指します。安全性については、原子力規制委員会の専門的判断に委ねます。
原発の再稼働には、まず、新しい安全基準の策定が必要です。そして新しい安全基準に適合するかどうかの確認が必要です。さらに活断層等の調査のように電力会社がいい加減にやってきたものの再調査も必要です。きちんとその作業をするためには時間が掛かります。それに3年ぐらいかかるだろうという目安をだしました。
そういうことを考えれば、大飯原発のように、簡単に再稼働をすることはできません。自民党は、仮に再稼働するにしても、それには時間が掛かることをはっきりと申し上げ、安全をしっかり確認します。

 なお、規制委員会により安全でないと判断された原発分については、太陽光や風力等の再生可能エネルギーの徹底的導入、省エネルギーの徹底的推進、環境負荷の少ないLNG火力発電所の立地推進、高効率石炭火力発電所の活用推進、産出国との交渉方法見直し等による化石燃料の調達コスト低減、電力会社間の電力融通、既存石炭火力の活用などによって当面必要なエネルギーを確保します。
現在及び将来に責任の持てるエネルギー戦略の確立
 中長期的エネルギー政策として、将来の国民生活に責任の持てるエネルギー戦略の確立に向け、判断の先送りは避けつつ、遅くとも10年以内には将来にわたって持続可能な「電源構成のベストミックス」を確立します。その判断に当たっては、規制委員会が安全だと判断する新たな技術的対応が可能か否か見極めることを基本にします。

「脱原発依存」であることは、はっきりと掲げましたが、「脱原発」の時期について明確にできなかったのは減点です。しかし、これまでのような原発推進ありきでのエネルギー政策からは転換しました。脱原発に向けて、現実的な道筋をつけていけるように努力し続けます。

 いかなる事態・状況においても社会・経済活動を維持するための電力が不足することのないよう、多少の時間は要しても将来の技術動向等を見極めた「責任ある戦略」を立案します。
適正な電気料金体系の構築
 電気料金のあり方については、事業者が発電施設の安全確保と安定した電力供給を行うための費用を確保する一方、国民生活や中小零細企業等の経営に影響を与えない配慮が両立可能となるような適正な料金体系を構築し、国民の誰もが納得できるものとします。
 電力卸市場への事業者の新規参入を促進し、競争的環境の中で消費者が電気料金を選択できるようにします。

電力会社の地域独占を改めることを明確にしました。電力卸市場への新規参入の促進には、当然に、発送電分離も含まれます。

 なお、現行の総括原価方式についてはその問題点を明らかにしながら、料金体系のあり方と併せて、その見直しも含めて検討します。
電力族は一言言いたいかもしれませんが、現行の総括原価方式そのものの見直しも含みます。
原子力立地地域における地域振興に関する研究体制の整備
 原子力立地地域の経済が原子力発電所等に雇用の面を含め経済的に大きく依存している状況に鑑み、今後のわが国のエネルギー政策における原子力の位置付けが同地域の将来に大きな影響を与えることは間違いありません。地域の「あり方」を早期に模索し、あらゆるエネルギー政策にも対応できるよう地域振興のあり方を検討する必要があります。
 そこで、今後の「あるべき原発立地」や「地域振興のあり方」等を模索するため、産学官の連携の下、研究体制を整備する一環として、「原発立地地域振興研究センター」(仮称)を設立します。
この一項を入れたのは極めて大きな意味があります。つまり、原発や再処理工場、高速増殖炉などをやめるような方向転換しても、その立地地域には迷惑をかけないということを明確にしています。
「あらゆるエネルギー政策にも対応できる地域振興のあり方」ということは、原発をやめた、再処理をやめた後のその地域の振興策を国が責任を持つということです。
国のエネルギー政策が変わっても、国の政策に協力してくれてきた地域を同じように支えていくことに変わりはありません。その対応を研究していくことにしました。これは脱原発するためには必ず必要な一歩です。

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自民党のエネルギー政策議員連盟は、明確に再処理をやめ、将来的に脱原発を果たし、再生可能エネルギーを促進していこうという政策を掲げています。
私と神奈川第17選挙区支部長の牧島かれんさん等が共同代表を務め、柴山昌彦代議士が事務局長、平将明代議士や岩屋毅代議士をはじめ多くの自民党所属の国会議員および選挙区支部長が活動しています。
自民党エネルギー政策特命委員会の核燃料サイクル小委員会(岩屋毅小委員長)も再処理路線には大きな疑問を投げかけています。
311までは、自民党内で原発政策に異議を唱える議員は一人だけだったかもしれません。しかし、今やその状況は変わりました。原子力立国などを唱えていた加納時男元参議院議員のような考え方のほうが今や自民党内でも異端です。
もちろん、まだ自民党のエネルギー政策は不十分かもしれませんが、自民党政権になればまた昔と同じように原発が推進されるというほどひどくはありません。



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