- HOME
- » ごまめの歯ぎしり » 05自民党役職停止中 » エネ庁のミスリード
エネ庁のミスリード
2012.06.20
この数日、おかしな報道が目につく。
たとえば、共同通信の6月18日付の記事。
「月額75~111円上乗せ 再生エネ普及で電気代
経済産業省は18日、再生可能エネルギーの普及を促す「固定価格買い取り制度」が7月1日に始まるのに伴い、来年3月末までの各電力管内の電気料金の上乗せ額が月75~111円になるとの試算を発表した。月7千円の電気料金を支払っている家庭を想定した。全国平均は87円となる。
電力会社は固定価格による買い取り分を電気料金に転嫁するため、太陽光発電を設置している家庭が多い地域ほど家庭の負担額が大きくなる。
各電力管内の上乗せ額は北海道が75円、東北は78円、東京は84円、中部は99円、北陸は78円、関西は81円、中国は99円、四国は105円、九州は111円、沖縄は99円。
今回の試算は、家庭の太陽光発電を買い取る「余剰電力買い取り制度」に基づく上乗せ額も含めた。この制度では各電力会社が個別に上乗せ額を設定している。」
この記事の元になっているのは、エネ庁のニュースリリースで
http://www.meti.go.jp/press/2012/06/20120618001/20120618001-1.pdf
このニュースリリースのなかに下記の記載がある。
「本年度(今年7月から来年3月末まで)の再生可能エネルギー賦課金単価を、0.22円/kWhと定めます。なお、本年度については、太陽光発電の余剰電力買取制度に基づく太陽光発電促進付加金をあわせて御負担いただくことになるので、標準家庭(電気の使用量300kWh/月、電気料金7000円/月)の負担水準は、全国平均で87円/月になります。」
固定価格買取制度のもとで、再生可能エネルギーの賦課金単価は0.22円/kWhと定められた。
エネ庁の試算では、標準家庭の電力使用量を300kWh/月としているので、固定価格買取制度による標準家庭の負担は66円/月のはずだ。
しかも、固定価格買取制度のもとでは、電力会社ごとの買取価格は同じであり、賦課金の負担は全国一律だ。
それなのに、エネ庁のニュースリリースには、この66円も全国一律も出てこない。
それどころか「本年度については、太陽光発電の余剰電力買取制度に基づく太陽光発電促進付加金をあわせて御負担いただくことになるので、標準家庭の負担水準は全国平均で87円/月になります」などと書かれている。
七月から始まる固定価格買取制度は、賦課金の徴収をその年に行うのに対して、六月末に終了する太陽光の余剰電力買取制度では、翌年度に徴収するため、今年は、たまたま新制度と旧制度の費用負担が重なることになる。
旧制度は、電力会社によって賦課金が違うが、新制度はそれを平準化した。だから電力会社ごとに賦課金が違うのは六月に終了する旧制度だけだ。
エネ庁のニュースリリースは、こうした二つの制度の説明をしないで合計金額だけを機械的に並べたため、新しい固定価格買取制度で賦課金は、地域によって75円から111円までになると誤解を与える。
しかも旧制度の終了については触れていない。
あきらかにエネ庁は、意図的に、誤解を生み出し、新制度への反対勢力をつくり出そうとしている。
原子力ムラ、電力ムラの住民は、まだまだ元気だ。