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東京電力の値上げ等に関する質問主意書への政府答弁
2012.04.04
問い 平成24年度予算案のなかで、首相官邸の光熱費の予算の前提となる電力料金の単価と使用量はそれぞれいくらか。
答え 平成24年度予算における総理大臣官邸の電気料の積算に当たって用いた1キロワット時当たりの電力量料金単価は夏季(7月1日から9月30日まで。以下同じ。)のピーク時間(夏季の平日(土曜日を含む。以下同じ。)の13時から16時まで。以下同じ。)は13円96銭、夏季のピーク時間を除く昼間時間(平日の8時から22時まで。以下同じ。)は13円38銭、夏季以外の昼間時間は12円28銭、夜間時間(昼間時間以外の時間。1月2日、1月3日、4月30日、5月1日、5月2日、12月30日、12月31日の全日を含む。以下同じ。)は9円2銭であり、電力使用量は、夏季のピーク時間は29万6304キロワット時、夏季のピーク時間を除く昼間時間は125万8616キロワット時、夏季以外の昼間時間は395万6568キロワット時、夜間時間は551万8288キロワット時である。
問い 財務省の本省建物の光熱費の予算の前提となる電力料金の単価と使用量はそれぞれいくらか。
答え 平成24年度予算における財務省本省庁舎の電気料の積算に当たって用いた1キロワット時当たりの電力量料金は、夏季は12円24銭、夏季以外は11円28銭であり、電力使用量は、夏季は184万3956キロワット時、夏季以外は430万5742キロワット時である。
問い 政府が東京電力と結んでいる高圧および特別高圧の契約に関して、東京電力からの値上げのお願いを受け入れるのか、それとも契約期間が終了するまでは値上げを拒否するのか。
答え 東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)は、電力小売自由化部門の需要家に対する電気料金の本年4月1日からの値上げを求めてきたが、各府省等が東京電力と締結している電力小売自由化部門の電気需給契約であって同日以降に契約期間が満了するものについて、契約期間満了前に契約内容の変更に応じるか否かについては、個々の契約ごとに予算の効率的な執行の観点から判断すべきものと考えている。
問い 東京電力は、電力料金の自由化部門について、契約期間にかかわらず4月1日から新料金で電力を提供したいとし、「お願い」の手紙を送っているが、相手が明示的に値上げに同意しなくとも、異議を唱えなければ同意したと見なして値上げすると表明している。政府は、東京電力のこのような値上げのしかたを問題だと考えるか。
答え 電力小売自由化部門の需要家(以下単に「需要家」という。)に対する電気料金については、電気事業法(昭和39年法律第170号)に基づく経済産業大臣の認可は必要とされておらず、値上げの方法も含めて電気事業者と需要家との間の契約により決まるものであるが、政府としては、東京電力において、需要家に対する電力料金の値上げを行う場合には、個々の需要家に対して適切な説明を行い、その理解を得ていくことが必要であると考えている。
その際、東京電力が現在の契約期間満了までは値上げを拒否できることについて需要家に対して説明をせずに、契約期間満了前に値上げを行うことに需要家が異議を唱えなければ同意したとみなすとしたことについては、適切ではないと考えている。
問い 東京電力は、個別契約の内容を第三者に開示しないように契約者に求めているが、政府や自治体、独立行政法人、国立大学法人等のように公金で支払われるものについては、国民、納税者に対して電力会社との契約は開示されるべきだと思うがいかがか。
答え 電気事業者と需要家との間の契約を公表するかどうかについては、各契約当事者において判断されるべきものと考えている。
政府と電気事業者との間の契約については、「公共調達の適正化について」(平成18年8月25日付け財計第2017号財務大臣通知)において、政府は契約相手方や契約額等契約に係わる情報を原則として公表しなければならないとしている。
問い 東京電力は、現在の契約期間が終了した後、値上げに応じない企業に対しては、電力を提供しない旨、通知をしている。契約者が東京電力以外から電力を購入できる保証がない現状で、東京電力が一方的に、値上げに応じないならば電力供給をしないということを、政府は許すのか。
答え 東京電力においては、需要家に対し、現在の契約の契約期間が満了した後、当該契約と同一の条件で電気の供給を引き続き行う義務はないが、一定期間後に一律的かつ機械的に供給を停止することは適切ではなく、柔軟な対応がなされることが適当と考えている。
また、東京電力においては、需要家が希望する場合には、東京電力が交渉により合意に至らなかった場合の電気料金等について定めた電気事業法上の最終保障約款に基づく電気の供給を拒んではならないとされている。
問い 電力の自由化部門は、何が自由化になったのか。電力会社の契約相手にとっての自由とは何か。政府は現状が、「自由化」されていると考えているか。
答え お尋ねについて、需要家に対する電気の供給については、従来は、その需要規模にかかわらず、原則として電気事業法第2条第1項第2号に規定する一般電気事業者がその供給区域において行うものについてのみ認められていたが、平成12年3月以降、同項第7号に規定する特定規模需要に応ずる電気の供給については、同項第八号に規定する特定規模電気事業者が行うものや一般電気事業者がその供給区域以外の地域において行うものについても認められることとなり、特定規模需要については、需要家が電気の供給者を自由に選択できるようになっている。
しかしながら、特定規模需要については、特定規模電気事業者の供給力の不足等により、需要家の選択肢は事実上限定されていると認識しており、これまでの電気事業制度改革の目的の一つである需要家の選択肢の確保が必ずしも確保されていないことから、需要家の多様な選択肢を確保することは電気事業制度改革の検討課題の一つであると考えている。
問い 東京電力管内の契約者が、東北電力や中部電力などに電力供給契約を求めても、拒否されている。電力会社のこうした互いの地域独占を認めるようなカルテルを政府は認めているのか。
答え お尋ねの「地域独占を認めるようなカルテル」の意味するところが必ずしも明らかではなく、お答えすることは困難であるが、一般電気事業者はその供給区域外における特定規模需要に係わる需要家からの電気の供給の要請については、供給力の不足等を理由としてそのほとんどに応じていないものと承知している。
前問でお答えしたとおり、特定規模需要については、需要家の選択肢は事実上限定されていると認識しており、これまでの電気事業制度改革の目的の一つである需要家の選択肢の確保が必ずしも達成されていないことから、一般電気事業者の競争を促進すること等により、需要家の多様な選択肢を確保することは電気事業制度改革の検討課題の一つであると考えている。
問い 家庭用電力の値上げも取りざたされているが、東京電力が自らが引き起こした事故により経営難になったからといって、一般的な企業の平均以上の給与を社員に支払いながら、選択の自由がない家庭用の電力料金を引き上げることを政府は容認するのか。
問い 東京電力が、家庭用の電力料金を引き上げる以前に、東京電力の人件費を、一般的な企業の人件費と比較して、どこまで引き下げることを求めるのか。
答え 東京電力は、平成23年6月以降、管理職社員の年収の25%の削減及び一般職社員の年収の20%の削減を行っていると承知しており、当該削減については、政府が平成24年2月13日に原子力損害賠償支援機構法(平成23年法律第94号。以下「法」という。)に基づき認定した東京電力の特別事業計画(以下「認定特別事業計画」という。)において、当面の間継続することとされている。
現時点において、東京電力からの電気料金の値上げに係わる認可申請はなされていないが、当該申請が行われた場合には、電気料金制度・運用の見直しに係わる有識者会議が平成24年3月15日に取りまとめた報告書において、電気料金の原価を構成する人件費については、「常用労働者千人以上の企業平均値を基本に...類似の公益企業の平均値とも比較しつつ、査定を行うことが適当である。」とされていること等を踏まえ、経済産業省において厳格に審査を行うこととなる。
問い 東京電力が保有する美術品や福利厚生施設などは、これまでの総括原価に含まれているのか。そうした発電や送配電に必要のない資産の売却を、政府は求めないのか。
答え 東京電力が直近の平成20年に行った電気料金の改定においては、東京電力が保有する美術品については、原価に織り込まれていないが、東京電力が保有する福利厚生施設については、減価償却費等として原価に織り込まれている。
また、認定特別事業計画においては、経営合理化のための方策として、福利厚生施設を含む不動産等の売却を行うこととされている。
問い 政府は、東京電力の取締役の報酬を把握しているか。政府が把握している取締役の報酬、賞与、待遇を記せ。
また、家庭用電力料金の引き下げ以前に、取締役の報酬などの引き下げをどこまで求めるのか。
答え お尋ねの「待遇」が何を指すのか必ずしも明らかでないが、東京電力における役員の報酬について、代表取締役である会長、社長及び副社長計7名の平成22年度における報酬額は1人当たり約4700万円であり、東日本大震災(以下「震災」という。)の発生後において報酬は支給されていないと承知しており、また、代表取締役以外の取締役計10名の平成22年度における報酬額は1人当たり約3000万円であり、震災の発生後において報酬額は1人当たり約1500万円に減額されていると承知している。
東京電力における役員の賞与については、平成20年度以降、支給されていないと承知している。
東京電力は、現時点において、電気料金の値上げに係わる認可申請をしていないが、東京電力及び原子力損害賠償機構は、平成24年春をめどに法に基づき認定特別事業計画の変更の申請を行うこととしており、それまでに、役員の退任や退職慰労金の放棄を始めとする、更なる経営責任の明確化のための方策について検討がなされるものと認識している。
問い 家庭用電力料金の引き上げを認める前に、東京電力の不動産の処分をどの程度求めるのか。
答え 東京電力は、現時点において、電気料金の値上げに係わる認可申請をしていないが、認定特別事業計画においては、経営合理化のための方策として、東京電力の有する資産等のうち、不動産については、原則として平成25年度までに、約2472億円相当を売却するとしている。
問い なぜ、福島第一原発の事故による燃料費の増加や賠償や廃炉の費用の支払い負担のために、株主資本や金融機関の債権が温存され、家庭用電力料金が引き上げられるのか。
答え 東京電力は、現時点において、電気料金の値上げに係わる認可申請をしていないため、お尋ねについてお答えすることは困難であるが、東京電力及び原子力損害賠償支援機構において、平成24年春をめどに行うこととされている認定特別事業計画の変更の申請までに、徹底した経営合理化策や金融機関及び株主等の関係者に対する協力の要請等について、あらゆる選択肢が排除されず検討がなされるものと認識している。