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所得の捕捉なきバラマキ
2012.02.02
野田総理の消費税増税の不退転の決意は、社会保障改革とセットのはずだ。しかし、民主党政権の社会保障改革を見ると、改革という名前のバラマキになっている。
現在の社会保障制度でも、費用が毎年膨らみ、財政を圧迫しているわけで、現在の制度でもお金が足らない。だから増税だと言いながら、制度改革と称して出費を増やしたら、その増税でも足らなくなるではないか。
増税しますというならば、まず、出費を可能な限り抑える改革とセットにする、あるいは無駄な部分、おかしな部分を削って、その削った範囲内で必要なところを手当てする改革をしなければならないのではないか。
学習院大学の鈴木亘教授は、民主党政権のバラマキ案として、次のものをあげている。
消費税引き上げに伴う低所得者への消費税還付制度(消費税の「給付付き税額控除」)
低所得者への月額1.6万円の「年金加算制度」
低所得者に対する国保保険料の軽減策
鈴木教授は、保険料を払えない低所得者にも月額7万円の年金を保
障する「最低保障年金」もバラマキに入れているが、これは税方式
の基礎年金で対応できるというのが私の考えだ。
この他にも「公費を投入することにより、65歳以上の介護一号保険料の低所得者軽減」、「年収300万円以下程度の所得が低い方に対する高額療養費の見直し」等、目白押しだ。
問題は、どうやって、誰が低所得者だと認定するのか。新番号制度では、金融資産や不動産収入を把握することができない。
また、こうした新制度の財源を捻出するための歳出削減が盛り込まれていないので、消費税増税すると同時に、また、お金が足らなくなる。
まず、現行制度で財政はどういう状況にあるのか、現行の社会保障制度にはどれだけ公費負担が盛り込まれているのか、それをはっきり示したうえで、まず、それをどう改善するのかを出すべきだ。
これまでのような社会保障への公費投入は、財政的に難しい。それならば、給付を削減するところ、負担を増やすところ、まずそれを議論して、現行制度の枠内で、財政がどうなるかを示す。
その上で、社会保障制度を改正して、現行のこれを削って、新しい制度を入れるということをわかりやすく示すべきだ。
そして、その前提は、きちんと所得と資産を把握できる番号制度の導入だ。