ミャンマーの借金

2012.02.01

ミャンマー政権が民主化する意向を示し、ミャンマーへのODA再開に向けて各国が動こうとしています。

日本は、これまで円借款として、1987年までに67件、3283億円の貸付が実行され、返済は548億円、貸付残高2735億円。

新しい円借款を実施する前に、この延滞債務がきちんと処理されなければなりません。

かつては、途上国向けの延滞債務を処理するために、まず借金を返しなさい、そうすれば返済した金額と同額を無償援助してあげますという債務救済無償という制度がありました。借り入れ国は、返済と同時に無償資金をもらい、この資金で開発に必要なものを調達して、その領収書をきちんと示すことになっていました。

しかし、この領収書をNGOが精査した結果、あまりに使途不明金が多く、2002年にこの制度は廃止されました。

かつてフジモリ大統領のペルーの場合は、世銀から借りた債務が延滞になっていました。そこで、輸銀がペルーにブリッジローンを出し、ペルーはそのお金で世銀の借金を返済し、間髪入れず同じ日に世銀とIMFがローンを出して、輸銀に返済するということをやりました。

なんだ同じじゃないかと思うかもしれませんが、延滞債務はきちんと返済され、新規のローンを借りましたという体裁が整います。これが新規の借款を出してもらうためには必要になります。

ペルーは1日でやりましたが、ベトナムの時は2日でやったそうです。これも正当な処理とは思えません。

そこで、IMF・世銀のHeavily Indebted Poor Countries (HIPC) のプロセスでミャンマーの延滞債務を処理することが必要だと思います。

HIPCのプロセスでは、Poverty Reduction Strategy Paper (PRSP)というものを幅広いステークホルダーと一緒に作成することが求められています。日本政府がここでしっかりとイニシアチブをとっていくべきだと思います。

そういうことが日本とASEANの関係につながっていくのだと思います。

1月13日に日本-ASEANセンターの会合が開かれ、その席上で、外務省は、うるさい国会議員がまた改革を求めているので、ASEANセンターの予算を削減しなければならない、ついては二、三年かけて日本人職員を三人減らし、ASEANから来ている部長職を廃止して副部長に格下げして経費削減をしたい、と提案したそうです。

私のASEANの友人が、外務省がvery influential congressman we cannot ignoreが改革を求めていて大変だ、と会議の席上で理解を求めたそうだよ、と笑いながら電話してきました。

very influential congressman we cannot ignoreっていったい誰なんでしょう。私なんか国際協力局長に頼んだODA問題案件リストのレビュー、ずっと忘れられて、...。

中野大臣政務官がASEANセンターの問題を担当することになったそうで、ここはしっかり政治主導を発揮してもらいたいと思います。



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