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使用済核燃料で原発が止まる
2011.05.31
現在、我が国の原発の使用済核燃料プールの状況はどうなっているのか。
経産省によれば2010年9月末の状態で、
原発名 1取替分 貯蔵量 最大容量(トン )
泊 50 350 1000
女川 60 390 790
東通 30 60 230
福島第一 140 1820 2100
福島第二 120 1130 1360
柏崎刈羽 230 2210 2910
浜岡 100 1090 1740
志賀 50 120 690
美浜 50 360 680
高浜 100 1160 1730
大飯 110 1350 2020
島根 40 370 600
伊方 50 550 940
玄海 90 760 1070
川内 50 850 1290
敦賀 40 580 860
東海第二 30 370 440
合計 1340 13530 20420
(四捨五入の関係で合計が項目の合計と一致しない)
原発は13ヶ月に一度定期点検に入り、3ヶ月点検が続くので、16ヶ月に一度燃料取替が入る。1340tは12ヶ月換算すると約1000tになる。
2010年9月末に全国の使用済核燃料のプールの余裕は全部足しても6890tであり、約7年分弱。
福島第一、福島第二、浜岡が停止したままだとすると一年間の取替量は980tになる。この三つの原発のプールが使えないとすると、使用済核燃料プールの容量は最大で、15220t、それに対する貯蔵量は9490tで、空きは5730t。6年弱しか余裕はない。
六ヶ所村の再処理工場の原材料プールの容量は3000tだが、既に2700tは搬入済。残りは300tしかない。
青森県むつ市に平成24年までに3000t、34年までに2000tの中間貯蔵施設をつくる計画になっている。
それでも5000tしか容量がないため、5年弱分しかない。
六ヶ所村の再処理工場が稼働できなければ、早晩、原発は、耐用年数よりも使用済核燃料プールの空き容量で行き詰まることになる。
六ヶ所村の再処理工場が完全稼働すれば、年間800tの使用済核燃料を再処理することができる。それでも毎年180tの使用済核燃料が処理しきれずに溜まっていく。
そして、再処理工場が稼働すれば、1tあたり1%のプルトニウムが抽出され、内数の0.6%が核分裂性のプルトニウムになる。年間800tの使用済核燃料を再処理すると、年間約8tのプルトニウム、内4.8tの核分裂性プルトニウムが生み出される。
ここで生み出されたプルトニウムを消費するために、同量のプルトニウムをプルサーマルで燃やす必要が出てくる。プルサーマルで消費できなければ、プルトニウムが積み上がっていくことになる。
福島第一、第二と浜岡が停止すると、現在プルサーマルが予定されている原発だけでは3.1tしか処理できない(大飯を含む)。電源開発の大間原発が稼働して、ようやく4.2tである。
毎年、プルトニウムが0.6t積み上がっていくことになる。
その前に日本は核分裂性のプルトニウムを31t保有している。(国内に6.8t、イギリスとフランスに24.1t。)
この31tのプルトニウムも処理をしなければならないが..。
さらに、再処理工場が稼働すると使用済核燃料からプルトニウムを抜いた残りの高レベル放射性廃棄物が増えていく。
高レベル放射性廃棄物の中間貯蔵は、青森県との約束で、2045年までには全て最終処分地へ搬出することになっている。
しかし、最終処分地は目処が全くたたない。
最終処分地は、全国から応募し、まず、文献で過去の地震や噴火の記録を調べ、適性地域から概要調査地区を選ぶ。
概要調査はボーリング調査や地質調査をした上で、精密調査地区を選定する。予定では、平成20年中頃には、精密調査地区が選定されることになっていた。
現状では、応募すら可能性はない。
ここまで細ーい綱をうまく渡ってきたとしても、結局、核燃料サイクルは、ここで完全にこける。
しかもこれからつくるMOX燃料加工工場やむつの中間貯蔵施設等、兆の単位でハコモノがつくられ、さらに再処理のために毎年何千億円の国民負担が発生する。
グリーンピアとか社会保険庁の比ではない。
永田町は、この数日、何かガタガタしているようだが、ちゃんと仕事しようぜ。