日本の映画産業の危機

2010.11.26

日本の映画を見ると、「なんとか制作委員会」が制作している映画が結構あります。

つまり、映画会社、テレビ局、おもちゃメーカー、広告代理店、出版社などが資金を出して、映画を作って、チケット売って、テレビで流して、キャラクターグッズ作って、書籍にして売って等々みんなでリスクを分割して、みんなで儲けようというのが制作委員会です。

制作委員会は、民法上の組合であったり、有限責任事業組合(LLP)、あるいは投資事業有限責任組合であったりするのですが、これが金融商品取引法(金商法)の二条二項五号という規定にひっかかるのです。

つまり組合、LLP、投資事業有限責任組合など、出資金で事業をして儲かったら利益を得るというスキームのものは、金商法によってその権利が有価証券とみなされます。だから制作委員会を作って資金を集めると、第二種金融商品取引業の登録をして、行為規制を守らねばなりません。

行為規制とは、顧客に対する誠実公正義務、名義貸しの禁止、広告規制、契約締結前の書面交付、契約締結時の書面交付、投資運用業にかかる忠実義務、善管注意義務、分別管理義務、運用報告書の交付義務等々と、禁止行為をしないこと。

実際に映画作っている人に話を聞くと、映画作るだけなのにこんなことしないといけないのか、というか誰がいったい、こんな書類書きやるんだ、できるわけないよということのようです。

この金商法二条二項五号の規制を受けないために一番簡単なのは、出資した以上の利益の配当を受けないことなのですが、よっぽど映画が好きな人だけが集まって身銭切る場合でなければこうはなりません。

映画作るために儲けようとして、なおかつ、金商法の規制を受けないためには「出資者の全員が出資対象事業に関与する場合として政令で定める」条件に当てはまることが必要になります。

で、その条件とは何かというと、まず、業務の執行は出資者全員の同意で行い、かつ、1.出資者全員が常時、映画の制作に従事していること、または、2.特に専門的な能力であって、映画の制作に欠くことができないものを発揮すること。

全員が常時制作に従事していることというためには、全員が日常的に継続的に実質的に制作に従事していることが必要です。映画のキャラクターグッズ売るだけなのに、毎日、映画制作の現場にいなきゃいかんのか!?

では、専門的な能力云々とは、金融庁によると「例えば出資者たる玩具メーカーが通常業務で得たノウハウを活用して知的財産権の管理を行う場合であっても必ずしも該当しない」。

つまり、映画の制作委員会は金商法の取引業者の登録をしろというのが金融庁の見解なのです。

で、制作委員会はそんなことできないから、みんな、この法律をシカトしているのが現実です。

と、ある日突然、金融庁が制作現場に踏み込んできて、金商法違反だということになりかねません。その結果、3年以下の懲役または300万円以下の罰金。

信じがたいことですが、日本で映画作るために、みんなそういうリスクを冒しているのです!

こんな状況は、異常だし、法律がそもそも想定した状況ではないはずなので、金融庁は、金商法施行令1条の3の2を変更すべきではないかと問題提起をしましたが、今日に至るまで、金融庁にその意思はなく、それならば自民党で規制仕分けして、法改正をするしかないねというところまで来ています。

映画の制作委員会だけでなく、他のコンテンツ分野にも関わることだと思います。ひょっとしてうちも関係しているというところがありましたら、ご連絡ください。お待ちしています。



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