拝啓 馬淵国土交通大臣殿

2010.10.15

拝啓 馬淵国土交通大臣殿

 記者会見の議事録、読みました。早速の対応ありがとうございます。

ただ、記者会見のご発言のなかで、いくつか気になる点があったので、差し出がましいようですが一筆したためます。

まず、記者からの質問に答えた場面で、「今の基本高水の考え方は、皆さん方にもしっかりと理解をしてもらいたいが、これはモデルでの計算結果、もしくは観測史上最大流量、いずれかの大きい数字を選ぶことになっている。現時点においては利根川に関しては、八斗島の22000トンは観測史上最大流量だから、モデルの妥当性や補正の係数等の妥当性の検討が、即、イコール基本高見の見直しにつながることではないと承知している。」

河川局長がどんな説明をしたかわかりませんが、八斗島の基本高水毎秒22000トンは観測値ではありません。計算値です。昭和33年洪水のデータに基づいて作ったモデルに、実際の降雨量318mmより1mm多い319mmの雨量を入れて導き出したのが毎秒22000トンという数字です。実際の数値は毎秒16000トンあまりでした。

河川局長は、あのころは堤防がちゃんとしていなかったので、上流で水が漏れたなどとすでに予防線を張っていますが、上流で水が漏れたなどという誰も証明できない理屈で、もっと水が流れたはずだと言わんばかりです。

毎秒22000トンは計算値ですから、今回の数値の修正で、基本高水は確実に低下します。

記者会見の中での「この飽和雨量で山の保水量に関しては先ほど数字を言ったように昭和57年、平成10年と、数字が増えている。これは森林がある程度肥よくな山の状態を構成しつつ、115ミリ、125ミリと飽和雨量が高まっているということで、ある意味、モデルの中では妥当な数字として取り入れたのではないかという風に私は受け止めた」は、重要です。

なぜなら、河川局長は、未だに飽和雨量が増えたのは森林が成長したからだとは言いません。なぜだかわからないが飽和雨量が増えたという説明ではつじつまがあいません。森林の成長による保水力の増大が飽和雨量を増やしてきたと確実に確認してください。

「ダムの検証に関しては予断を持たずに再検証」、誰が見てもその通りだといえる再検証が大事です。大臣、よくご存じの通り、私が指摘した道路下の空洞調査の捏造に関する第三者委員会の事務方は、まったくひどいものでした。小泉委員長がきちんと仕切ってくださったから、道路局長以下の企みは未然に防ぎましたが、私は総選挙の直前に、調査の立ち会いで徹夜する羽目になりました。

話はそれますが、道路保全センターに対する損害賠償請求、ありがとうございました。残るは道路局長に対する責任追及です。道路局長までぐるでなければ、ああまでひどい事件にはなり得ませんでした。責任追及もよろしくお願いします。

つまり、道路もダムも、国土交通省の役人がこれまでやってきたことは、全く信用がおけません。その中で予断を持たずに再検証するためには、様々な意見や立場を持つ人間を入れての検証が必要です。御用学者と役所のOBに偏らない再検証が必要ですし、きちんと公開された場での検証が不可欠です。

「これまでも雨量、あるいは流量データ、あるいは計算に使った諸係数、すべて公開してきていたが、出来る限りこうした情報というものは公開すべきというのが基本的な考え方だ」というご発言がありましたが、飽和雨量ですら、あの予算委員会で大臣自らが初めて公表されたわけですから、「すべて公開」してきたというのは、河川局長の詭弁でしかありません。

今日提出した質問主意書で、K値、P値、一次流出率、遅滞時間などをお尋ねしていますので、早速の公開をお願いします。

「ただ、これまで公開してないもの、例えば流域分割図、あるいは流出モデル図があった。...見たところ、構想段階、洪水調節施設の建設予定地点が推定できるという状況のものだった。...これについてはいわゆる反社会的な勢力によって土地の買い占めなど不当な、国民の間に混乱を生じさせるような状況が起きうる可能性があること、またこういった情報に限っては情報公開法の趣旨に基づいて不開示とすべきだということで、すべての開示ということについては私はいささか問題があると申し上げてきた次第だ」とのご発言ですが、それでは限られた研究者に守秘義務をかけた上で公開してください。彼らがそれに基づいて、基本高水を計算できます。

昨日のメルマガ、ブログで述べたとおり、国土交通省には数値を捏造した疑いがかけられております。これは国土交通省が積極的に疑いを晴らさなければならないものです。なぜならば、日本中の河川の基本高水がダムを造るために河川局によって捏造されていた可能性が極めて高いからです。

国土交通大臣の積極的にイニシアチブで、この疑いを晴らす、あるいは罪を認めて再検証をするのいずれかをやりとげなければなりません。

多くの治水学者が大変興味を持って大臣の一挙手一投足を見つめております。アドバイスが必要ならば24時間、いつでもうかがいます。お気軽にお声をかけてください。

激務の中、お身体ご自愛ください。

敬具

河野太郎 拝



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