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予算委員会の解説 その一
2010.10.13
予算委員会。テレビ入りのデビュー戦。
衆議院のビデオライブラリから、質問の様子をご覧いただけます。
http://www.shugiintv.go.jp/jp/video_lib2.php?u_day=20101012
三連休の後だったので、三連休にこれまでの関係委員会の議事録を全部プリントアウトして読めたし、これまでの経緯を知っている人にも話を直接聞けたし、この日程はかなり助かった。
影の行政刷新・公務員制度改革担当ということでの質問なので、まず、蓮舫大臣に事業仕分けを一緒にやろうねというエール。
その次は、国対から、写真撮影に関してきちんと釘を刺せという指示があったので、常識で考えてあれは商業目的だよね、政治活動の記録というならば、ふだん百数十万円の衣装を着てこないでしょうが。ギャラもらったり、あの洋服もらったりしてませんよね。
場所や機会を別にすれば、お似合いでしたと付け加えたら、相手は苦笑いしていた。
さて、本題。
民主党政権発足以来、八月六日までの間に1590人が退職勧奨され、2人を除いてそれを受け入れた。天下りの斡旋はないということになっているが、バブル経済のさなかならともかくとして、このご時世、そんな酔狂なことがあるはずがない。
片山総務大臣に、常識でそんなことが考えられるかと質問すると、問わず語り、以心伝心というものがあったのだろう、という答弁。
つまり、あれだけ天下りを批判した民主党政権は、堂々とこの一年間、裏下りをやってきたのだ。
現在の国家公務員法では、「再就職等監視委員会」が天下りの斡旋などを監視することができるのだが、現実にはこの委員会には委員長も委員もいない。
なぜならば、民主党が野党時代に人事案に反対し続け、民主党政権になったら人事案を出さないまま。つまり、裏下りを監視する委員会は空き家状態。
通常国会では、民主党政権は公務員法の改正で、この委員会を作り替えるからという理由で人事案を出さず、当時の階総務大臣政務官が人事案を出さないのは違法状態であると答弁する始末。この臨時国会にはその改正案を出さないので、人事案を出すべきだが、なぜか出さない。
現行法では、委員会が立ち上がるまで、総理大臣に調査権限が与えられているのだが、これまで鳩山、菅両総理はその権限を使って調査をせず、菅総理はこれからもしないと蓮舫大臣に答えさせた!
裏下りを既成事実化しようとする民主党政権の思惑が、透けて見えるどころかはっきり見える。
民主党政権のもう一つの悪事は、現役出向をばんばん増やしていることだ。
前原大臣が、現役出向だと退職金を一回しか払わなくてよい等と答弁したが、たとえば30年勤めた役所の退職金をもらって天下ったところで3年分の退職金をもらうのと、途中現役出向した官僚が戻ってきて、出向分を通算して33年分の退職金を一回でもらうのを比べると、公務員人件費は確実に増える。
現役出向時は公務員の身分ではないので、公務員ではできない退職後の就職活動をせいせいとやることができる。
7月22日に民主党政権は政令を改正し、現役出向できる法人を大幅に拡大した。ここで特異なのは厚労省。
僕は前任の長妻昭という大臣を全く評価しない。野党時代、役人もハローワークにいけといっておきながら、社会保険庁解体時には、懲戒対象になったものまで天下りバンクで世話している。年金保険料を年金以外に使うのはけしからん、事務費流用などもってのほかと大声でわめいておいて、いざ自分がその立場になったら、実に数千億円もの年金保険料を事務費に流用した。年金改革、医療改革、全く何も進められなかった、史上最低の大臣だ。
しかし、この大臣が、唯一やったことが、この政令改正に厚生労働省の所管法人を入れさせなかったことだ。当時の前原国土交通大臣が成田空港、関空、JR四社、高速道路六社、東京地下鉄、軽自動車検査協会、小型船舶検査機構などいかにも天下り先と言えるようなところに現役出向を広げたのに対し、厚労省はゼロ。
新大臣に、これからも厚労省の所管法人を現役出向の対象にしないのかと確認すると、その通り、と。厚労省は火を噴いてるだろう。
さらに公務員制度改革法案に関して、仙谷官房長官から「内閣委員会の自民党理事が自民党案を丸呑みにしなければ修正には応じないと言ったから修正できなかったのだ」というまったくのねつ造答弁があり、まさにその自民党理事の井上信治代議士がカンカン。
天下りの廃止は絶対に譲らない、しかし、幹部公務員制度と内閣人事局については協議に応じると自民党が言ってきたのを、閣法の修正には応じないと断ったのは民主党だ。
仙谷さんの言い方だと、天下りの廃止は譲れないと自民党が言うから、協議が決裂したということになる。つまり、民主党は、天下りをやりたいのですということだ。
参議院の予算委員会で、この件は、きっちりと仙谷官房長官に謝ってもらうことになるだろう。
(続く)