河野太郎限りの指定解除
2010.05.25
外務省の福山副大臣が、ノルウェー出張前の忙しい時間を割いて、カンボジアの国道一号線の立ち退き補償問題で、資料を出すからと連絡をくれる。
副大臣室に行ってみると、カンボジア政府から「河野太郎限り」で機密指定を解除された資料が出てくる。おいおい、データを出しましたというだけでは意味がない。その裏を取らなければ。
十数年前から五年ぐらい前までに、カンボジア政府が委託したコンサルタントが調査したデータなるものが載っている資料だ。
その一、これが正しいデータかどうか、他人に情報を確認できなければ、僕はどうやって調査すればよいのか。
その二、このデータの通りに補償されたかどうか、どうやって確認すればよいのか。
なぜ、このデータを公開しないのかと尋ねると、プライバシーの問題があるから、と外務省は言う。
十数年前に、例えば、プノンペンから42km地点、道路から800m離れたところに住んでいた人が、いくらで家をカンボジア政府に補償してもらったかがわかってはいけないということらしい。
では、十数年前に、プノンペンから42km地点、道路から800m離れたところというデータのポイントが示している点が誰の家だったのか、そしてその人が今、カンボジアのどこにいるのか、そう簡単にわかるものだろうか。
仮にわかったとして、その人が、国道の拡張で立ち退いたからいくら政府から補償してもらいましたということを、絶対極秘にしなければならないのか。正当な補償ならば、問題はないのではないか。
このデータを世銀やADBのデータと比較することすらできないのでは、データが出ても意味がない。
ODAに関して、もっと外務省は、情報をきちんと出すべきだ。
この問題を提起してから、一体何年経つだろう。もう、外務省の担当課には、その頃の人はいなくなってしまったのではないか。