ODAをどうする?

2009.02.19

新JICAが策定作業中のODAの環境社会配慮ガイドライン。
国会で、誰が興味を持っているだろうか。
政治家が細かく見ていないと骨抜きにされるのは、公務員制度改革だけではない。

新JICAのガイドライン素案を旧JICAのガイドライン、JBICのガイドラインと比較した表が事務局から出された。
見て、のけぞる。

まず、旧JICAとJBICのガイドラインの文言と新JICAの文言が違う。これまで問題がなかった条文まで新しい文言に書き換えられているので、何が変わったのか、どう変わったのか、何でそう変わったのか、で、それがどういう意味の書きかえなのか、一行ずつ見て行かなくてはならない。

言葉の定義も微妙に書き換えられている。

有識者委員会の原科委員長も怒り心頭のようだ。
これまで、このプロセスに参加してきてくれたそれぞれのNGOはみんなこの表を見て、呆然。
これで23日の委員会でなにをどう議論するのか。

外務省とJICAにストップをかける。
まず素案は撤回。元の文言で支障のないものは、それをそのままコピーアンドペースト。修正されたところは下線をひいてどこが変わったかわかるように。
追加されたものは、明確に何が追加されたかわかるように。
元のJICA、JBICのガイドラインから進歩はあっても退歩はなし。紛らわしいものは一切だめ。元のJICA、JBICのガイドラインに含まれていたものは、全て含まれること。
新たに始まる調査は全て完全に情報公開されること。
新しい素案ができてから、議論を再開。

誰か見ていないと、必ず骨抜きにしようとする。これまでのJICAやJETROのプロセスを見ていると、みんな最初は骨抜きから始まる。だから、わかりにくいものは疑ってかかれ、が合い言葉になっている。

対フィリピンの無償支援「地方都市水質改善計画」。
97年7月にフィリピン側から10の水道区の水質改善の案件が要請された(ことになっている。本当にフィリピン側からの要請なのか、この後の経緯を見ると疑わしい)。

99年8月JICAが調査を入札し、日本テクノが落札。

00年6月に報告書がまとまる。この時点でまだ10の水道区がプロジェクトの対象になっている。

フィリピンで援助を受け入れるためには、フィリピン政府が支援受け入れに同意する必要がある。もともとフィリピン政府の案件であるはずにもかかわらず、フィリピン政府が受け入れを同意したのが01年11月。この間、一年半もかかっている。(一つの水道区が地元負担ができないと対象から外れる)。

02年2月JICAの再調査(フィリピン政府が受け入れを即決していれば、これはいらなかったのではないか)。

02年3月再調査報告書がまとまる。この再調査報告書で、配水管の老朽化が指摘され、JICAからフィリピン政府に対応を要請。フィリピン政府は対応を約束。

02年5月まず、第一期として4水道区のプロジェクトを日本政府が閣議決定。

03年7月第二期として3水道区を閣議決定。このときに、残り二地区は治安が悪く、対象から外れる。

04年10月第一期の四地区完工。

04年12月第一期のディングルポトタン地区で配水管の老朽化により、運転が停止。

05年コンサルタントが規定通りのレビューを実施。結果は不明。

05年3月第二期の三地区完工。

06年第二期のレビューが行われているはず。

07年3月第二期のリンガエン地区、配水管が老朽化し運転停止。

07年4月第一期のパニタン地区、水道区の統合により運転停止。

07年夏、外務省とJICA調査に入る。

08年運転中の地区にODA民間モニターが見学に入る。

09年2月三地区は依然として運転停止中。

完工してから二ヶ月で運転停止、それから五年間、何の評価もなく対応もなし。

なぜ、老朽化が指摘されていた配水管は取り替えられていなかったのか、なぜ取り替えられていないのに工事が行われたのか。水道区の統合がなぜ行われたのか、フィリピン側からの案件なら、なぜこんなことが起こったのか。

フィリピン側の対応なのか、コンサルの調査不十分なのか、JICAの問題なのか、外務省の問題なのか、今日の時点で切り分けできず。
フィリピン政府の問題ならば、他の対フィリピンODAを止めるべきだ。

他にこうした案件がいくつあるのか、調査を開始する。

やっぱりODAは半減せざるを得ない。
有償資金はもっとひどい状況だ。むやみやたらと金額ベースを維持しようとするため、大型プロジェクトにカネを出しまくる。その返還が始まると、国際基準でのODA額は減り始める。
抜本的な改革が必要だ。



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