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その2 文部科学省
2008.11.26
教育関連で多数の学校・地域に全額国費負担で事業を行わせるモデル事業(20年度予算:200億円)については、今回の棚卸しを参考にして、そのすべての要否を抜本的に見直すべきである。
文部科学省のこうしたモデル事業は、すでに地域や学校で同様の試みが行われているかどうかの調査がなく、また、モデル事業に関する成功と失敗の基準が明確でないため、各事業の検証が行われていない。全額国庫負担であるため事業終了後に普及しない、文部科学省による事業の押し付けがかえって学校現場・地域の負担になっている等さまざまな問題がある。一方、先進的な取組が行われている地域や学校がモデル事業の対象となるとは限らない。 モデル事業の予算を抜本的に削減した上で、必要不可欠な事業については、自治体が事業を選べるよう、その財源の半分程度は教育関連のために自治体に配分する仕組みを検討するべきである。 文部科学省のモデル事業の対象内容については、既に各自治体で自発的に優れた取り組みが行われていることが多く、文部科学省は、優れた取組をホームページ・講演等により紹介・周知する活動に専念すべきである。
独立行政法人・日本学生支援機構の奨学金事業については、滞納が急増し、延滞債権が2200億円にも上っており、滞納分が国費に付け回しされている。まずは、独法職員の人件費、事業費を抜本的に削減し、現在非効率性が指摘される独法の回収業務は民間に委託することにより、奨学金事業への国費投入(20年度予算:1385億円)を抑制すべき。 その上で、国の奨学金事業は維持しつつ、5年後(中期計画策定時)を目途に、この独法については廃止を検討すべき。
独立行政法人・教員研修センター(20年度予算:14億円)については、各都道府県等で行っている教員研修に加えて、国が全国の教員を一カ所に集めて研修を行う必要性は乏しく、国費投入を抜本的に削減すべき。次期中期計画策定時(22年度中)までに本法人の廃止や、文部科学省が直接、研修を大学等に委託することを含め、研修の抜本的な見直しを行うべき。
「心のノート」(20年度予算:4億円)については、文部科学省作成の教材を一律に配布するのではなく、同じ財源を使って、学習指導要領に沿った教材の中から各学校が選択する仕組みを検討すべき。
全国学力調査(20年度予算:62億円)については、全数調査を毎年やる必要性は低く、数年に一度実施し、その間はサンプル調査を行う形態へ移行すべき。また、何を調べたいのか明確にし、個々のデータを国民に明らかにすべき。
子どもの体力向上にむけた全国調査(20年度予算:2億円)は、既に各学校・地域で実施している体力測定もあり、現場の負担軽減、費用対効果の観点から、全国一律に毎年実施する形態は廃止すべき。
独立行政法人・大学入試センターについては、年一回の試験のために、約100億円の実施経費と約100人の専属職員を投じているが、市場化テストを含めて工夫し、年間5億円の税金投入を不要とすべき。
独立行政法人・科学技術振興機構による「日本科学未来館」については、年間25億円もの多額の赤字を国費で補填している状態にあり、運営費を抜本的に削減するとともに、民間委託・譲渡を目指して運営形態の見直しを行うべき。
さらに、都内にある三つの科学関係の博物館の運営主体を一元化など、整理合理化を進める必要がある。
世界最高水準の研究拠点形成のための「グローバルCOEプログラム」(20年度予算:150大学、334億円)は、目的と成果がはっきりせず、対象も多すぎて単なるばらまきになっている。予算削減を含めたプログラムの抜本的な見直しが必要。
大学国際化のための「大学教育の国際化加速プログラム」(20年度予算:250大学、20億円)(21年度は「国際化拠点整備事業」(150億円))など、国立大学を中心とする各大学に対しては、国立大学運営費交付金等に加えて、テーマ別の補助金が多数流されているが、類似・重複する補助金を整理し、ばらまきにならぬよう優れた取り組みを重点支援できるよう対象大学数を極力絞るべき。
キャリアパス多様化推進事業(4億円)については、本来市場原理でやるべきことであり、目標設定もないこうした事業を継続する必要はない。
科学技術の大型プロジェクトについては、実用化に向けたロードマップを国民に対して明らかにし、税金投入額の妥当性を徹底的に検証すべき。
GXロケット事業は、宇宙開発の全体像の中での位置づけを明確化し、市場化の見込みおよび技術的課題の解決の目途が経つまで凍結を含め、抜本的に見直す。
深海ドリリング計画(ちきゅう)は、事業目標・事業期間を明らかにしたうえで、独立行政法人・海洋研究開発機構の運営体制の効率化などにより各年度140億円かかる経費を抜本的に抑制した運用を図るべき。
21世紀気候変動予測革新プログラム(20年度予算:29億円)は、対象としている高精度の予測が国民の利益にいかにつながるか、現時点では不明確であり、税金投入を削減すべき。
次世代スーパーコンピュータは、「世界最速のコンピューター」を開発するために、平成24年までに約1150億円と多額の税金投入が予定されているが、「世界最速」を実現するために妥当な投入額か、「世界最速」を実現した場合に具体的に何に利用するのか、徹底した見直しを行うべき