二人の日本人

2008.10.08

日本人三人がノーベル賞受賞と日本のマスコミは報道している。

が、たとえばニューヨークタイムズではアメリカ人と二人の日本人がノーベル物理学賞を受賞と報道している。

ノーベル賞委員会の公式ホームページでも、二人の日本人とアメリカ人になっている。(http://nobelprize.org/nobel_prizes/physics/laureates/2008/

南部陽一郎シカゴ大名誉教授は、日本生まれの方だが、アメリカ国籍を取得されている。

国籍法上、自分の意思で外国籍をとれば、日本国籍は自動喪失する。だから国籍で言えば、今回のノーベル物理学賞は、日本人二人とアメリカ人一人が受賞したことになる。

問題は、南部さんのことを離れて、一般論で議論すると、もともと日本国籍を持っていた人が、ノーベル賞を受賞して、その際、ノーベル賞の公式ホームページでも明確に外国籍であることが明記されていたり、もともと日本国籍を持っていた人が、オリンピックに外国の代表として出場し、金メダルを取り、外国の国旗を揚げたりした場合、日本政府はどうするのか、ということだ。

国籍法上は、自分の意思で外国籍をとった場合は日本国籍は自動的に喪失するわけだから、ほぼ間違いなくそれに該当するような場合、日本政府はそのご本人に確認をとるのだろうか。

国籍法の手続きによれば、中央官庁が職務上、ある人が国籍を喪失していることを知れば、その本籍地に通告することになる。

が、オリンピックに外国代表で出場をしていたり、ノーベル賞を受賞して、その公式ホームページに外国籍であることが明記されていたとしても、つまり、公に報道され、日本国民誰もが知り得る情報になっていたとしても、政府の各省庁は、それは職務上知り得た情報とはいえないので、通告しないのだそうだ。

つまり、国籍法上、自分の意思で外国籍を取得すると日本国籍を自動喪失することになっているが、現実的には、そうならない。法的には喪失しているのだろうが、戸籍が残っている以上、たとえばパスポートを申請すると交付されるのだ。

父母が国際結婚した場合のように、子供が二重国籍になり、本来二十二歳で国籍を選択しなければならないにもかかわらず、現実には国籍選択する人がほとんどいないと同じように、外国籍を自分の意思で取得してもあたかも日本国籍を失っていないかのように振る舞えることになる。

国籍法は、国籍に関するルールを決めているにもかかわらず、現実には正直者が馬鹿を見ることになっている。
自己の意思で外国籍を取得したら日本国籍は自動喪失するという規定も形骸化している。
きちんと法を運用するか、あるいは二重国籍を認めるように国籍法を改正するか、政治として結論を出す必要がある。



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