2005年7月30日号

2005.07.30

自分の本会議の演説の議事速報を読む。
まあ、なかなかのものだななどと独りごとを言ったりする。

その議事速報には僕の後に演説した鳩山由紀夫代議士の演説も出ているので、ついでに読む。
演説は、小泉総理に対する罵詈雑言で始まる。
途中でやっとサミットの話になるが、議事録で読むと非常に違和感がある。
以下引用する。
「さて、サミットの開始に合わせるように、ロンドンで同時多発テロが発生し、多くの英国民が犠牲になりました。心からお悔やみを申し上げるとともに、ブレア首相がテロに屈せずとはいつもと同じように生活をすることだと述べられたことには、さすが英国流は違うと感心したものです。」
はあ?
なぜ、英国民が犠牲になるとお悔やみを申し上げるのか?
サミットが行われている国で起きたからなのか?
サミットがテーマにしているアフリカでは報道はされないが各地の内戦で多数が殺されている。お悔やみは申し上げないのか?
たまたま鳩山代議士の演説がそうなっていたが、彼だけではない。
どうも、最近の本会議の演説は、テレビで報道された死者にはわざわざお悔やみを申し上げるが、報道されない死者ほったらかしという風潮がある。
いかにもわざとらしく、不愉快だ。
こういう風潮はなくす努力が必要だ。

もう一つ、最近の国会で気になることがある。
やたらと懲罰動議を出すことだ。とんでもないことだと思う。
院の懲罰は、議員を除名することもできるのだ。国民が選んだ議員を除名できるような懲罰というプロセスを、ほとんど党派根性丸出しで安易に選ぶ最近の国会の状況は、関係者を懲罰にかけたいぐらいひどい。
民主主義は、非常に壊れやすい。だからこれを維持するためには大変な努力が必要だ。
確かに酒を飲んで本会議場に入ってきた議員は良くない。
が、彼は注意されるべきだし、自民党が彼を処分する必要はあるかもしれないが、赤い顔で本会議場に入っただけで、国民が選んだ議員を懲罰にかけるのか。
飲酒して本会議場に入る議員に対する処分は、次の選挙で有権者が決めるべきことだ。
小泉総理や武部幹事長に対して、まったく根拠も示さずに飲酒の容疑で懲罰動議を出すなどというのは、民主主義に対する破壊行為以外の何ものでもない。
懲罰を出されたから、懲罰を出し返したりする。
本会議場での上着とネクタイ着用を強制するよりも、こういう馬鹿なことに対して叱るほうが院の権威を守ることになるのではないだろうか。

なぜこうなってしまったのか。
その一因は、あの議員辞職勧告決議案の乱発だ。有権者が選んだ議員に対する辞職勧告なるものが本会議に安易に出されるようになった。あれで歯止めが壊れたのだ。
みんなで議会制民主主義を守ろうという暗黙の了解が無くなったのだ。

民主主義の過程では、少数意見が尊重されねばならない。
にもかかわらず、少数野党が、過半数で可決される辞職勧告決議案などを乱発したのだ。(除名は三分の二が必要であるにもかかわらず、辞職勧告は単なる決議だから過半数なのだ。太平洋戦争中、さんざんいじめられた共産党が率先してこんなものを出そうとしている。あんたら一体何を考えているのか!)
そして、今度は懲罰動議である。勘弁してくれ。

議員辞職勧告決議案で堤防にアリが穴をあけ、懲罰動議の乱発で議会制民主主義は危機に瀕している。
もともと日本の民主主義は実質的な面ではほとんど崩壊しているのに加えて、形式面でもぶっこわれたら、機能不全である。完全に。

それにしても何度も懲罰動議を出される永田某も問題であることは間違いない。
懲罰動議を出されることで、何かヒーローになったとでも勘違いしている。
が、それでも懲罰するのではなく、有権者の良識で落選させるべきなのだ。

つまり、議員を選ぶということは、とてもとても、とっても大事なことなのだ。
もしも万が一、一度選んだ議員の身分を安易に剥奪しても良いということになれば、そりゃヒトラーの足音が聞こえてくるようになってもおかしくはない。
いや、日本でも軍部が民主主義を壊したではないか。
議員はしっかり選ぶ、そしていったん選んだ以上、その議員の身分は任期中しっかり保障する。
そして、次の選挙でもう一度しっかり選ぶ。
これが民主主義の要だ。
あやまちを繰り返してはならない。



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