2004年7月15日号
2004.07.15
Brainstorm2004 in Aspen
DAY2
昼飯時に一緒にシャケの切り身(又はサーモンステーキ)について話をしていたポロシャツにチノパン、長髪の人物がキル・ビルやパルプフィクションのプロデュースをしたローレンス・ベンダーだったりするのがこの会議だ!
今日の午後の日本についてのセッションは、...(言葉もないほど悲惨だった)。
確かに相手は強敵だった。中国やインドといった発展途上経済へのマーケティングに関するセッションとナノテクに関するセッションと日本は再生したかというセッションが同時並行で行われる。
さて、総勢280人のこの会議の参加者のうち、日本に興味があったのは何人か?
インドと中国は会場からして違っていた。メインセッションをやる大テントがそのまま会場になっていた。我が日本のセッションは、小部屋。そして、そこに来たのは26人。何だ一割かと思ったら大間違い。26人のうちの五人はパネリスト、一人は司会、五人は日本から来た参加者、三人はパネリストの友人。参加者は12人!
今、世の中の日本に対する関心はこの程度だ。
セッションはエキサイティングだったと声をかけられたが、どんなよいセッションも聞いてもらえなければ意味がない。
フォーチュン誌のアジア版のエディターが日本に関するメインセッションをやろうとスケジュールを作る時にずいぶんと頑張ってくれたそうだが、結局、他のセッションと並列になり、結果的に中国、インドに惨敗した。
なぜ、日本に対する関心がここまで低いのか。
グレン・フクシマの仮説は:
一、日本人の中に話を聞いておもしろい人物が少ない
二、80年代にやけどをした外資はそれ以来日本をあきらめている
三、日本の政府も企業も海外からの批判がないことに満足している
四、日本で成功している外資は自分の成功を宣伝して回らない
元大蔵省の内海さんと、政治家は国際会議では日本のプロモーションに徹するべきか、それとも問題点も取り上げるべきかという議論をする。
内海さんは国際会議では日本のプロモーションに徹するべきだというご意見だが、僕は問題点もしっかり取り上げるべきだという意見だ。建設的な批判は国内でも海外でも有効だと思うし、かつて野党の某党首がダボス会議で日本政府のことをぼろくそに言って非難を浴びたことがあったが、問題点を取り上げて指摘することと誰かの悪口を言うのとは違う。国内で通用しないプレゼンテーションは海外でも通用しないし、海外で恥ずかしいプレゼンテーションは国内でも恥ずかしい。
今日のスケジュール
07:30 朝食セッション
09:00 マーガレット・スペリング他
09:20 Business under attack
10:15 アシュラフ・ガニ(アフガニスタン財務大臣)
11:00 How do we run the World now?
11:50 Cradle to Cradle:How green is my company?
12:30 昼食
13:45 ローレンス・ベンダー他
14:00 The CEO:Wide awake at 3:00am?
14:50 ボリス・タディシュ(セルビア大統領)
15:40 第一セッション
16:40 第二セッション
18:30 カクテルパーティ
20:30 日本に興味のある参加者と夕食会
22:00 ブラッドリー(民主党)対リード(共和党)討論会
朝食セッション
From Communism to capitalism
Can business and technology alleviate poverty?
The US economy and the world*(僕の選択)
Media war over iraq
Education:Will we ever learn?
Environment:Will making trade-offs end up killing us?
Wireless Everything
第一セッション
Middle East:What’s next?*
Our technologized life:How far will it go?
The drug industry crisis:Why and what to do?
第二セッション
Reinventing JAPAN:What does the new Japan mean?(パネリスト)
Selling to the six billion
Nanotech:The invisible revolution
プレゼンテーションの中には、地球上の問題に優先順位をつけようという「コペンハーゲン合意」に関するものもあった。
もし500億ドルを地球的な問題に使うとしたら:
まず発展途上国のHIV/AIDSを最優先課題に270億ドル
つぎに栄養失調の問題に130億ドル
その次に自由貿易の実現
四番目にマラリアの撲滅というのが費用対効果が大きい効率的な金の使い方だそうだ。
最も非効率的な金の使い方は京都議定書に関して金を使うことだそうだ。納得はしないが研究する余地はありそうだ。
太陽光パネルの価格を劇的に下げるプロトタイプの実験に関するベンチャーからの提案もあった。大きなパネルを使うのはシリコンの使用量が大きくなるので、鏡を使って太陽光を集め、小さなシリコンで済むようにしたものだ。中華料理用のテーブルぐらいの大きさに二千枚の小さな鏡を並べ2ドル程度のCPUでコントロールしながら二つのモーターでこの鏡を制御するというものだ。一般家庭では三年で投資の回収が終わるそうだ。
シーメンスの社長が早速、興味を示していた。
アメリカをなめてはいけない。
朝七時半から夜十一時過ぎまでの長い一日だった。