2004年4月19日号

2004.04.19

外来種対策の一例として、鎌倉市のアライグマ駆除の現状を見せていただく。
アライグマは、アライグマ回虫というアメリカでは死者も出ている寄生虫を持ち、狂犬病もあり、成獣になると凶暴性もあるペットには本来向かないはずの動物だ。(現在、アライグマは狂犬病の関係で輸入が禁止されているはずだ)。
しかし、アライグマのラスカルという子供番組で誤ったイメージが広まった結果、ペットとして飼われることが増え、そのために成獣になったアライグマを買い切れずに逃がしてしまうということになり、野生化した。神奈川県では鎌倉市と相模原市が野生化の中心となっている。
1997年には鎌倉市でわずか11件だったアライグマによる被害報告が2001年には鎌倉市の地図にプロットすることも難しくなるほどに増えている。
アライグマによって伝播される病気の問題(アライグマ回虫は日本でも既に2000年にウサギから発見され、レプトスピラ症も保土ヶ谷で犬に感染していることが確認されている)以外に、希少種であるトウキョウサンショウウオの産卵地がアライグマに襲われ、産卵数が数百からわずか四に一年で激減した他、希少種であるアカテガニなどもアライグマによって脅かされるようになっている。
三浦半島全域で、アライグマの生息可能数は約1200頭と言われているので、既に三浦半島で限界を超えたアライグマは北進をはじめ、横浜、藤沢をはじめ神奈川県内のほぼ全域で生息が確認されている。
現状の捕獲数では繁殖率の高いアライグマの増殖を抑えることはできず、専門家の予測では、このままいくと2007年には県内に5000頭以上のアライグマが発生する(当然に県内全域にはびこることになる)。
子供が分散してしまう前の出産育児期に相当数のアライグマを捕獲することを続けられれば、三年で神奈川県のアライグマを根絶することができると推定されている。
そのためには、アライグマの増殖が臨界点に達しつつある今年の増殖を抑えることがカギを握る。今年も例年通りの増加を許してしまうと根絶はさらに難しくなる。そうなると丹沢の生態系に甚大な被害が発生し始め、県内の数々の希少種の絶滅が始まると言われる。
根絶のためには、わなが必要になり、その費用だけでも数千万円が必要になる。わなの見回りをする人件費やえさ代、捕獲したアライグマの隔離費用もそれに加えてかかる。
ウサギ追いし、かの山と歌われたふるさとが、アライグマ追いしになってしまうかどうかの境目に来ている。
確かに人間のわがままが根本にあってこうした事態になったのだからアライグマに本来、罪はない。だが、人間やペットの健康被害や生態系への影響、家屋農作物への被害等を考えると、もはや放置することができなくなってしまったのが現実だ。
外来種対策新法だけで、この現状を変えることはできない。県民全体の理解と協力が必要だ。
ちなみに民主党は外来種対策の新法に反対を決めた。思わず民主党の責任者である近藤昭一代議士に文句を言ってしまった。



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