2002年8月21日号

2002.08.21

シアトルでの米日財団のリーダーシッププログラムを終え、ロサンゼルスへ。
ロサンゼルスでは、全米日系人博物館とロサンゼルス総領事館共催の日系アメリカ人と日米関係のシンポジウムにパネリストとして参加する。
日系人が、これまでの日米関係にほとんど関与してこなかったのは、不思議なぐらいだが、二世が戦時中に経験したことを考えれば、それも無理のないことかもしれない。(ビジネスの面では、日本企業のアメリカ進出に日系アメリカ人が果たした役割は計り知れない。
それを良く知っているソニーの盛田元会長が全米日系人博物館のために非常に努力された)
今年の春、外務省のイニシアチブで、十名の日系アメリカ三世が日本を訪問し、日系人と日米関係の新たな一歩が踏み出された(と思う)。
三世の多くは、日本語を話すことができず、日本に全く行ったことがない三世も多い。しかし、一度、日本を訪れると、やはり、日本のことを考えてくれるようになる。
アメリカのマスコミが、次々と日本から中国に支局を移している中で、経済の動向に関わらず、日本のことを気にしてくれる存在がアメリカにいてくれることはありがたい。
日系人と日米関係に関するシンポジウムのようなものが開かれるのは、珍しいようで、これを機会にこの問題をきちんと取り上げていきたいという声が、日系人の間にも強い。とくに、この春に日本を訪問した十人はかなりアクティブにこの問題に取り組んでいる。

シンポジウムの後のレセプションに、外科医のポール・テラサキ博士が出席。博士は、日本の脳死移植の遅れに業を煮やして、厚生省に働きかけ続けている。ドナーカードなど即時に廃止し、近親者の意思を尊重するべきというのが博士の主張だ。博士は、まだ日本では生体肝移植のドナーの死亡例がないが、アメリカでは三例起きている。健康な人間の身体にメスをいれることが解決策であるはずがない。今に日本でもドナーが死亡するということが起きるだろう。そうなったらどうするつもりだ、と。
博士の主張にも一理ある。ただ、日本でいきなり近親者の意思ということになるだろうか。まず、運転免許証などにドナーの意思を記入できるようにしたいというと、年間五例の脳死移植が十例になる程度だろうと、博士は否定的だ。

ロサンゼルスのシンポジウムでも日本のNGO活動に対する法的な支援の少なさが指摘されたが、シアトルでも、NGOに対する意識の違いを認識した。
米日財団は、リーダーシッププログラムを五年間という年限を切って始め、六年目からは参加者が自分でプログラムを運営することになる。
今年で三年目になるため、いよいよ六年目からどうするかということを計画し、動くためにメンバーの中から運営委員会が組織された。
アメリカ側の参加者にとっては、ごく当たり前のことのようで、何をいつまでに、誰が責任者になって決めるか、提案するのは誰で、承認するメカニズムはどういうものか、あっという間に決まっていく。メンバーがプログラムを運営するならば、当然、NGOが必要になるという話になる。
すると、アメリカ側の初年度のプログラム参加者が、たぶん必要になるだろうからと、すでに501C3という税金の控除を受けられる団体の届出をすでに済ませていて、いつでも資金集めを始められる体制になっていると話し出す。こんなことは当たり前のことらしい。
財団が、世の中の役に立ちそうなプログラムに金を出す、しかし、ずっと支援するのではなく、年限を切って支援し、そのプログラムが本当に世の中の支援を得られるかどうか、試す。そして、そのプログラムの良さをわかっている人間が、その後の運営に力を貸す、と言うことが自然にアメリカでは行われているのだということを実感した。
官から民へという小泉改革を実現するためには、NGOのセクターの充実が必要だ。NGOが雇用を創出できるような仕組み、とくに税制の改革が必要だ。



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