2001年3月28日号
2001.03.28
日米の首脳会談で、両国の首脳は、一、ミサイル技術の拡散の脅威が増大しているという認識を共有し、二、米国のNMDの開発の検討に日本は理解を示し、三、TMD研究を両国共同で推進し、四、この問題に関する両国間の協議の重要性を確認する、という四点で合意。
四つともこれまでいわれてきたことだが、外務省曰く、これまでは四つをバラバラに扱ってきた、今回初めてこれらを組み合わせたということに大きな意義がある、と。でも、外務省の資料には、あいかわらず淡々とした記載だけで、初めてこれを組み合わせたことに意義があるとは書いていない。
わかるような資料をつくるのも仕事だと思うのだが、それはおいといて、十三年度はTMDの共同研究に三十七億円の予算がある。赤外線シーカ、ノーズコーン、キネティック弾道、第二段ロケットモータの四点を共同研究する。武器輸出三原則の例外として、アメリカ向けに武器技術を供与する事が認められているが、もし、この共同研究が開発、配備につながり、それを第三国に配備するということになると、この三原則の例外にも当てはまらなくなる。米国は、第三国への配備に当たって、日本に事前協議をすることになるが、そのときに、武器輸出三原則をとるのか、日米同盟を取るのかを迫られることになる。
研究と開発と配備の三段階のフェーズ移行にあたって、日本はそれぞれ次の段階に行くかどうか検討することになるが、それぞれのフェーズでなにをやるのかはっきりしない。たとえば、研究段階では発射試験までやるのか迎撃試験もやるのか。
そろそろTMDに関して政治が関わりを強めるべきだ。防衛庁も外務省も現場は前のめり、前がかり、前倒し。本当にそれでよいのか。
外交を議論するはずの外務委員会。野党はとうとう日程闘争だけでなく定足数闘争もはじめる。形骸化の最たるもの。一般質疑で、共産党の赤嶺代議士と外務大臣が丁々発止とやっていて、白熱した時に、民主党の理事から、議員数が足りないから、委員会を止めろと。外務大臣も、赤嶺代議士も今いいところだからやらせろという感じだったが、強引に委員会はストップ。居眠りしてても良いからそこに座っていろというのは、意味があるのか。答弁は大臣、政務官は全員座っていろでは、外務省に政治家が六人入ったといっても...。次の委員会日程で、十五分の審議時間で良いという条約も、今日は趣旨説明、審議と採決はこの次の委員会。それでその他にやることといったら一般質疑だけ。各委員が自分の問題意識に沿ってテーマを取り上げて質問するのも良いが、機密費のことしかやらない議員、潜水艦の潜望鏡とレーダーの話を質問する議員、稲嶺知事の公約の質問する議員、...。それもいいがそれだけでいいのか。もっと突っ込んだ議論も必要だろうし、小委員会などで詳しく調べることも必要だろうし、専門家をよんで話を聞く必要もあるだろうし、でも、野党は大臣をよんで、質問をし、国会に釘付けにし、失言があるのを待つ。あげくこの委員会には権威がない? と発言があるから笑う。
もっとも自民党執行部もあまり委員会審議を大事にしているとはいえないから、野党だけを責められない。若手で委員会のやり方をしっかり考える必要がある。野党の安住筆頭理事、委員会のやり方を一緒に考えないか?
アメリカの大手新聞社の幹部が来日。夕食に招かれるが、その新聞社の日本支局の記者が、日本の新聞記者がいかにアメリカの記者と違うか、記者クラブがいかに堕落しているかを幹部に向かって力説していた。新聞のインターネット化とビジネス性の議論で盛り上がる。いずれ、印刷と配達は分社化され、能力の高い記者を集め、室の高いコンテンツをつくるところが支配力を持つだろうと。