2001年1月18日号-2

2001.01.18

思召により来る一月十八日新浜鴨場にお招きになりますのでご案内申し上げます  宮内庁長官。

宮内庁が持っている鴨場の一つにお招きをいただき、鴨捕りをして参りました。新浜の鴨場というのは、皇太子殿下が雅子様とデートしたと言われている由緒正しきところです。
宮内庁は、この千葉の新浜ともう一つ埼玉にも鴨場があり(かつては浜離宮でもやっていました)、毎年十一月から二月の猟期に、内閣、衆議院議員、参議院議員、最高裁判所、それに各国外交団を六回に分け、都合十回の鴨猟を催します。
この鴨猟というのは、あまり世に知られていませんが、非常に興味深い伝統行事です。国会議員がお招きいただく宮内庁行事の中で、もっともエキサイティングなものといえます。

浦安のインターの少し東にある新浜の鴨場に十時集合となっていますが、みんな交通事情がわからず、渋滞で遅れてはいけないと早く家を出て、大体一時間前以上に着いてしまいます。そこで、すぐ近くにあるファミレスのジョナサンで、コーヒーなど飲んで時間をつぶします。まっていると、いろんな議員さんが早く来すぎて、時間つぶしにいらっしゃいます。九時半頃になると待ちくたびれて、鴨場に向かいます。
鴨場につきますと、まず、サイズの合う長靴を選び、薄いレインコートのようなコートと帽子と軍手をお借りします。しばし、オレンジジュースを飲んで(飲める人はお酒)、輪投げなどをしながら全員集合するのをお庭で待ちます(何で輪投げなのかはわかりませんが、普通、縁日なんかで子供がやるあの輪投げです)。寒いので、炭火がたかれています。
鴨猟ですから、動きやすい服装でとご案内がくるのですが、ほとんど全員スーツできます。私一人、コーデュロイのズボンとセーターでした。全員そろうと、部屋に入り、鴨の捕り方という8ミリビデオをみて、勉強します。紀子様が網を振っているところも写っています。それから班分けをします。

さで網という絹糸に柿の渋を塗った虫取り網の大型判のようなものを一人一本もって、十人一斑で出動です。
この猟は、鷹匠と呼ばれる、でも鴨猟の親分が、夏の間にあひるをよく訓練するところからはじまります(ちなみにこの鷹匠と長良川の鵜匠は国家公務員です。鵜匠は、代々親から子へ引き継がれますが、鷹匠は興味のある人を時々採用するそうです)。鴨場の真ん中には大きな池があり、三千羽ぐらいの鴨がシベリアから渡ってきます。鴨場の池から、細い堀が十五本掘られています。この堀は、幅一メートル弱、長さ十メートルぐらいです。
堀ごとに番木があって、それをカンカンとならすとならされたアヒルが池から掘に泳いできます。鴨は、このおとりのアヒルにくっついて、堀に入ってきます。そこで、鷹匠がさっと餌をまき、堀の奥に誘導します。
鴨が十分堀に入ると、堀の入り口を閉め、待機していた我々が網を持って土手に上ります。
この堀は、幅が狭く、堀の土手は垂直につくられていて、二メートルぐらいの高さがあります。堀に入ってきた鴨は、人が来ると驚いて、飛び上がろうとしますが、堀の幅が狭く、土手が垂直にできているため、羽根をばたばたさせながら、ヘリコプターのように垂直に飛び上がろうとします。
そこを我々が、さで網を振って、飛んでいるチョウチョウを捕まえるような感覚で、鴨を捕っていくわけです。今回、私は、四本の堀で、合計五羽捕まえました。
一羽捕まえると、網を後ろに待機している人にさっと渡し、次の網をもらい、堀に残っている鴨をねらいます。大体一つの堀に六羽から二十羽の鴨が入りますので、一人一羽弱から二羽とることができます。アヒルは飛べないので、水面に残ります。
衆議院議員二十人程度が参加し、合計二百五羽捕まえました。捕まえた鴨は、羽根を交差して、頭をそこにつっこむ(これが羽交い締め)と、全く動かなくなります。これを最後にリヤカーで集め、計測して足輪をつけ、放鳥します。
その後、鴨場で繁殖している合鴨をごちそうになります。かつては、取った鴨を食べていたそうですが、動物愛護のため、三十年ぐらい前から食べるための合鴨を養殖するようになったそうです。

けんちん汁、ほうれん草のお浸し、ウナギの入った茶碗蒸し、香の物、小魚の酢漬け、それに合鴨とネギを炭火で焼いて、大根おろしをつけて食べます。なぜか、ビールはキリンの一番絞り、酒は月桂冠をお燗したもの。
菊のご紋がついた三笠山が食後に出ますが、これは食べずに持って帰ります。聞くのご紋の葉巻もいただいて、解散です。

せっかくこうした伝統行事があるのですから、広く世の中に公募して参加者を募ることも必要だと思います。たとえば皇太子殿下ご夫妻にもご参加いただき、さで網を一緒に振っていただいてもよろしいかと思います。皇室の土地に国民が伺うわけですから、皇室のみなさまが膳を据える立場になって、おもてなしをしても良いのではないかと思います。皇室と国民のいろんな接点をもうけていく必要が二十一世紀にはあるのではないでしょうか。



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