99年11月20日号

1999.11.20

今日、ベルマーレはレッズに負け、J2陥落が決まりました。
みなさん、来年は、競技場に足を運んで下さい。
原発のバックエンド対策について多数のメールをいただきましたので、もう少し詳細を書きます。
ウラン鉱山から天然ウランが掘り出されるところから原子力発電は始まります。
天然ウランを濃縮して、濃縮ウランを作り、これを成型加工して(たとえばJCO)、燃料を作り、これを原発で燃やしてエネルギーを取り出します。
ウラン燃料を原発で燃やすと使用済み燃料が出ます。
使用済み燃料は、リサイクルされます。
使用済み燃料からリサイクルによって、燃え残ったウランとプルトニウムがとりだされ、残ったものが高レベル放射性廃棄物というごみです。
燃え残りのウランは、また、はじめに戻って濃縮されて、燃料となります。
そして、プルトニウムは、高速増殖炉(たとえば95年に事故を起こした「もんじゅ」)という特別の原子炉で燃やされると、燃やした以上のプルトニウムが取り出され、つまり燃やした燃料以上の燃料が生産されることになります。これが実現すれば、オーバーに言えば無尽蔵のエネルギーを取り出すことができるのです。
でも世の中そう甘くはありません。
まず、ウランを燃やして出る使用済み燃料の問題があります。
現在、日本で発生する使用済み燃料は年間約九百トン。
発電量の増加とともに、これは増加し、2010年には、年間千四百トンになると予測されています。
しかし、この使用済み燃料をどう処理するかの決定が遅れ、貯蔵施設の余裕はあと九千トン分しかありません。
政府は、国内で使用済み燃料をリサイクルするために、施設を青森県六ヶ所村に立地することをやっと決めましたが、操業開始は2005年、しかも処理能力は最大八百トン。
つまりこの施設がフル稼働しても使用済み燃料を全量処理しきれません。
さて、使用済み燃料をリサイクルして燃え残りウランとプルトニウムを取り出すと、強い放射能を出す高レベル放射性廃棄物というごみが出ます。
高さ一・三メートル、直径四十センチのステンレスのドラム缶のようなものにガラスで封じ込まれたこの廃棄物が年間千二百本も排出されます。
この高レベル放射性廃棄物は、その強い放射能によって熱を出すため、まず三十年から五十年貯蔵施設で冷やし、その後、地下水や地震などの影響がない、人里はなれた場所の地下数百メートルに厳重な管理の下、数百年間、完全に人間社会と切り離されて埋められなければなりません(地層処分という)。
とりあえず、六ヶ所村の施設で数十年間の冷却は行う予定ですが、地層処分を行う場所は、まったく決まっていませんし、誰がこの数百年間、これを管理するのかもまだ決まっていません。
さて、めでたくリサイクルをして、取り出したプルトニウム。
これも問題です。
プルトニウムは核兵器の原料になるため、日本政府は、1991年
にプルトニウムの在庫は持たないという政策を打ち出しましたが、リサイクルのために海外に送った使用済み燃料から取り出されたプルトニウムが国内に戻り始め、いまや二十トンを超えるプルトニウム在庫を持つようになり、海外から日本は核兵器を作るのかと疑念の眼で見られかねない状況です。
さらに、六ヶ所村のリサイクル施設が稼動を始めると、毎年六トンのプルトニウムが取り出され、ますます、在庫は増えていきます(つまり六ヶ所村の施設は、使用済み燃料のリサイクルには小さすぎる一方、プルトニウムの取り出し量は大きすぎるわけです)。
さらに、プルトニウムを使うはずの高速増殖炉の開発は、実験炉である「もんじゅ」が事故を起こしたこともあり、まったくめどが立っていません。
しかも、外国は、この技術は金がかかりすぎると相次いで開発を中止しています。
そこで、余ったプルトニウムを普通の原子炉で燃やすプルサーマルという方式で、プルトニウムを処理しようという計画が今、進行中です(やろうと思ったら、データ改ざん事件で遅れています)。
つまり、原子力発電所を作ったはいいが、そこから出てくる使用済み燃料、高レベル廃棄物、プルトニウムに関して、どうしていくのか何も決まっていないのです。
だから、こうしたものをどう処理するか、目処を立てるまで、原発を増設することには、反対です。



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