存立危機事態

2025.11.28

高市首相の予算委員会の答弁で、「存立危機事態」という言葉がクローズアップされてきました。

平和安全法制の中で、存立危機事態は、「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」と定義されています(事態対処法第2条4号)。

そして政府は繰り返し、「いかなる事態が存立危機事態に該当するかは、実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して、政府が全ての情報を総合して判断することとなる」と答弁しています。

これは11月7日の高市総理の答弁でも繰り返し明確に述べられています。

この「我が国と密接な関係にある他国」については、例えば安倍総理が「具体的にどのような国がこれに当たるかについては、あらかじめ特定されているものではなく、武力攻撃が発生した段階において個別具体的に即して判断されるものであります。

我が国の平和と安全を維持する上で、日米同盟に基づく米軍の存在及び活動は死活的に重要であり、同盟国である米国は基本的にこれに当たるであろうと考えていて、これまで政府が示してきたいずれの事例でも米国をその具体例として示しています。

他方、米国以外の外国がこれに該当する可能性は現実に相当限定されると考えられますが、いずれにせよ、個別具体的な状況に即して判断されます」と2015年2月2日に答弁しています。

平和安全法制では、いくつかの事態を定義しています(とくに事態対処法制といいます)。

「武力攻撃事態」(事態対処法第2条2号)
武力攻撃が発生した事態又は武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至った事態

「武力攻撃予測事態」(事態対処法第2条3号)
武力攻撃には至っていないが、事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態

「存立危機事態」(事態対処法第2条4号)
我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態

「緊急対処事態」(事態対処法第22条1項)
武力攻撃の手段に準ずる手段を用いて多数の人を殺傷する行為が発生した事態又は当該行為が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至った事態(後日対処基本方針において武力攻撃事態であることの認定が行われることとなる事態を含む)で、国家として緊急に対処することが必要なもの

つまりテロや特殊部隊による攻撃に対処することが必要な事態です。

「重要影響事態」(重要影響事態法第1条)
そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態

米軍等に対する後方支援活動、捜索救助活動、船舶検査活動等が可能になります。

これら五つの事態のうち、武力攻撃事態と存立危機事態が同時に認定されることもあり得ますし、武力攻撃予測事態と存立危機事態が同時に認定されることもあり得ます。

また、武力攻撃事態と存立危機事態では自衛隊の防衛出動があり得ます。

武力攻撃事態、武力攻撃予測事態、緊急対処事態では国民保護措置の発動があり得ますが、存立危機事態、重要影響事態ではありません。

いずれにしろ、日本が武力行使をすることができるのは、以下の武力行使の三要件を満たした場合のみです。

1 我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること

2 これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと

3 必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと

しかし、今回、中国側は、国連事務総長宛てに次のような書簡を出しています。

『Excellency, Recently, when responding at the Diet, Japanese Prime Minister Sanae
Takaichi blatantly made provocative remarks on Taiwan, implying the
possibility of armed intervention in the Taiwan Strait.

This marks the first time since Japan’s defeat in 1945 that a Japanese leader has advocated in an official setting the notion that “a contingency for Taiwan is a contingency for Japan”and linked it to the exercise of the right of collective self-defense; the first time Japan has expressed ambitions to intervene militarily in the Taiwan question; and the first time Japan has issued a threat of force
against China, openly challenging China’s core interests. 』

『First, Takaichi’s remarks constitute a grave violation of international law
and the basic norms governing international relations, and seriously
undermine the post-war international order….The Charter of the United Nations clearly stipulates that Member States shall refrain from “threat or use of force against the territorial integrity or political independence of any state.” Takaichi’s statements run counter to the purposes and principles of the UN Charter.

The international community should clearly recognize the dangers inherent
in these remarks and remain vigilant against Japan’s ambitions to overturn
the post-war international order. 』

『Second, Takaichi’s remarks grossly violate the one-China principle and the
spirit of the four political documents between China and Japan, and
constitute a serious breach of the commitments made by the Japanese
Government on the Taiwan question. 』

『Third, Takaichi’s remarks represent an open provocation to the more than
1.4 billion Chinese people and to the peoples of other Asian countries that
once suffered from Japanese aggression.』

『Now, Takaichi again raised the issue of “survival-threatening situation”. What is her true intention? Is Japan going to repeat its past mistakes of militarism? Does Japan try to once again make enemies with the Chinese and other Asian people?』

『If Japan dares to attempt an armed intervention in the cross-Strait situation, it would be an act of aggression.』

『As a defeated country of World War II, Japan must deeply reflect upon its
historical crimes, strictly honor its political commitment on the Taiwan
question, immediately stop making provocations and crossing the line, and
retract its erroneous remarks.』

書簡の全文は https://x.com/ChinaAmbUN/status/1992051326729990184

存立危機事態であったとしても、武力行使の三要件を満たさなければ武力行使はできないわけですから、第二次大戦後の国際秩序を変更しようとするものではありませんし、他国の領土に対して武力を行使しようとするものではありません。

もちろん、中国国民を脅かすことにもなりませんし、台湾海峡に武力介入するわけでもありません。

高市総理は、台湾に関するこれまでの日本政府の立場を変更したわけではありません。

さらにこの書簡は、日本の一部は、小中学生向けの教科書を書き直したり、「南京虐殺」を否定したり、未だに敗戦と言わずに終戦といったりしているなどと、予算委員会の議論とは無関係なことまで持ち出しています。

日本政府は、「日本政府の防衛の基本的な方針は、中国の主張とは全く異なり、専守防衛という受動的な防衛戦略の姿勢です。

日本は、国連憲章上認められている集団的自衛権について、さらに国内法により、それが行使できる状況を限定的に定義しています。

中国側が指摘する高市総理の発言も、こうした一貫した立場に立脚するものです。

したがって、武力攻撃が発生していないにもかかわらず日本が自衛権を行使するかの如き中国の主張は誤っています。」といった反論の書簡を事務総長宛に発出しています。
https://www.un.emb-japan.go.jp/itpr_ja/pressreleases_112425.html

明らかに中国側が誤解をしている、あるいは意図的にこの発言を利用して、国際的なキャンペーンを張ろうとしていることがわかります。

日本は同志国とも連携しながら、国際社会に粘り強く真実を訴えていく必要があります。



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