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ワクチンの安全性
2024.11.01
SNSなどで、ワクチンに関する根拠のないデマが横行しています。
ワクチンをうつかどうかは、もちろんご自身の判断ですが、ワクチンに関するデマを流布することでその判断を誤らせるようなことがあってはなりません。
ワクチンの安全性は、ランダム化比較試験(研究の対象者を2つ以上のグループにランダム(無作為)に分け、治療法などの効果を検証すること)で調査します。
数多くの被験者を集め、ワクチンを接種するか、プラセボ(偽薬)を接種するかをランダム(無作為)に決めます。
こうすればワクチン接種者グループとワクチン非接種者グループ(プラセボ(偽薬)接種者グループ)の違いは、「ワクチンをうったかどうか」だけになります。
その二つのグループの有害事象の発生率や死亡率に差が出れば、それはワクチンによるものということになります。
ファイザーもモデルナも、以下の通り、新型コロナワクチンのランダム化比較試験による重篤な有害事象の発生率は、ワクチン接種群とプラセボ接種群で有為な差がありませんでした。
ファイザー
ワクチン接種者:21,621人、プラセボ接種者:21,631人
重篤な有害事象の発生:ワクチン126人(0.6%)、プラセボ111人(0.5%)
死亡の発生:ワクチン2人(0.1%以下)、プラセボ4人(0.1%以下)
モデルナ
ワクチン接種者:15,185人、プラセボ接種者:15,166人
重篤な有害事象の発生:ワクチン89人(0.6%)、プラセボ93人(0.6%)
死亡の発生:ワクチン2人(0.1%以下)、プラセボ3人(0.1%以下)
ワクチンをうたなかった人でも、0.5-0.6%の割合で、何らかの有害事象が起きていますが、その割合は、ワクチンをうった人も変わりません。
つまり、有害事象の発生は、ワクチンをうったかうたないかにかかわらず同じように発生しており、ワクチンとの因果関係はないことがわかります。
死亡例についても同じで、プラセボをうった人、つまり、ワクチンをうたなかった人が数人亡くなっていますが、その割合はワクチンをうった人も変わりません。
この結果、これらのワクチン接種と重篤な有害事象や死亡の発生との因果関係はないということがわかります。
例えば、日本では年間に数万人(研究によって3万人から9万人といわれます)が「心臓突然死」で亡くなっています。
もし、ワクチンが原因で突然死が起こるならば、ランダム化試験で、プラセボをうった(ワクチンをうたなかった)人よりもワクチンをうった人の方が、有意に多く亡くなったでしょう。
しかし、それは起きていません。
ランダム化試験の結果から、突然死は、ワクチンをうった人にもワクチンをうたなかった人にも同じように起こる、つまりワクチンが原因で突然死が起きているわけではないということがわかります。
例えば年間34,000人が心臓突然死で亡くなっているならば、平均すると15分に一人が心臓突然死でなくなっていることになります。
日本では新型コロナワクチンの接種率(二回目まで)は全体で80%、65歳以上の高齢者に限れば93%に達しました。
これだけ多くの人がワクチンを接種していますので、ワクチン接種の直後に突然死が起きることも確率的にはあり得ます。
しかし、それはワクチンが原因で起きたわけではありません。
それは他の有害事象についても同じです。
その上で、ワクチン接種は社会防衛上行なわれる重要な予防的措置であるため、極めて稀に不可避的に健康被害が起こりうるにもかかわらず、あえて実施するものであるため、健康被害を救済する措置がとられています。
因果関係の証明よりも健康被害を救済することを目的に、「厳密な医学的な因果関係までは必要とせず、接種後の症状が予防接種によって起こることを否定できない場合も対象とする」という方針で審査が行なわれます。
健康被害認定された方とワクチンとの因果関係が証明されたものではありません。
さらに新型コロナウイルスのmRNAワクチンをうつと「シェディング」が起きるなどという荒唐無稽な話も流布されています。
「シェディング」とは、新型コロナウイルスのmRNAワクチンをうった人からウイルスがにじみ出て、他人に感染させるということだそうです。
新型コロナウイルスのmRNAワクチンは、新型コロナウイルスのタンパク質の一部の遺伝子情報(mRNA)を注射することで、体内で新型コロナウイルスのタンパク質の一部を作り、それに対する抗体が体内にできることで免疫を獲得するものです。
体内で作られるのは、新型コロナウイルスのタンパク質の一部だけですので、新型コロナウイルスそのものが作られることはありません。
mRNAワクチンをうつと「シェディング」なるものが起きることは、ありません。
日本では、これまでも子宮頸がんワクチンに対する反対運動で子宮頸がんワクチンの接種が進まず、予防できるはずの子宮頸がんで亡くなる方が未だにいます。
繰り返しますが、ワクチンをうつかどうかは、もちろんご自身の判断ですが、ワクチンに関するデマを流布することでその判断を誤らせるようなことがあってはなりません。