記者会見3月10日
2023.03.10
明日は3月11日、東日本大震災から12年を迎えます。
改めて、犠牲となった方々のご冥福をお祈り申し上げます。
そして、今年は、関東大震災から100年という節目の年でもあります。
これまで、防災分野では、政府においても多くの取組を進めてきましたが、民間からも、デジタルを活用した先進的な優れたサービスが産まれてきています。
そこで、デジタル庁では、尾崎大臣政務官を筆頭に、防災分野での民間の優れたサービスを地方公共団体において積極的に利用し、より効果的な防災対策を実現するための取組に注力してきました。
この取組について一定の成果がとりまとまったため、この後、尾崎大臣政務官から説明いたします。
二点目、明日(3月11日)から明後日(12日)までの2日間で、インド及びタイを訪問します。
今年4月に開催するG7デジタル・技術大臣会合では、G7で結束して、DFFTを始め様々な分野で成果を出していきたいと考えています。
この成果を国際社会に広げていくためには、インドを始めとするG20やグローバルサウスとの連携が非常に重要です。
インドにおいては、アジア太平洋、北米、欧州の各界のリーダーが国際社会の諸問題について共同で研究や討議を行う「三極委員会」の総会に出席し、DFFTの具体化の意義について講演します。
また、今年の「G20デジタル大臣会合」を主催するインドのヴァイシュナウ鉄道・通信・電子IT大臣と会談し、G7・G20の連携や日印連携について意見交換を行い、今後の協力を確認したいと思います。
タイにおいては、国際的に事業を展開する企業と、データ流通に関する課題などについて意見交換を行い、DFFTやデジタル分野の政策の推進に生かしていきたいと考えています。
今年4月のG7デジタル・技術大臣会合を見据え、日本が推進するDFFTを国際社会に力強く発信し、グローバルサウスとの連携強化に繋げてまいります。
三点目、風評に関する消費者意識の実態調査結果について報告します。
消費者庁では、「風評に関する消費者意識の実態調査(第16回)」を実施しました。
今回の調査結果によれば、放射性物質を理由に食品購入をためらう産地として福島県と回答された方は、第1回の2013年の19.4%から今年度は5.8%までに減少し、これまでの調査で最も少なくなりました。
一方、食品中の放射性物質の検査が行われていることを知らないと回答された方は、第1回では22.4%だったところ、今年度は63.0%まで増してきています。
日本の食品は、食品の安全性に関して国際的な基準を定めているコーデックス委員会の基準値である1,000 Bq/kg(ベクレル・パー・キログラム)と比較して極めて厳しい、100 Bq/kgという基準値を設定しています。
さらに、この基準値に基づき、2021年産の米だけでも30万点以上の検査を実施していますが、基準値を超過したものはありませんでした。
また、ごく一部に基準値の超過がみられた野生鳥獣の肉等の食品については出荷制限を行い、海外も含め市場に出回らない措置が今でも講じられています。
このことを改めて国民の皆様には知っていただきたいと思います。
なお、先日(3月7日)、記者会見において中国の秦(しん)外交部長が日本政府のALPS処理水の海洋放出の方針についてコメントされていますが、ALPS処理水の取扱いについては、日本政府はこれまで国際法を順守し、また国際慣行を十分踏まえて、環境及び人の健康と安全への影響を最大限に考慮した措置を採ってきています。
また、こうした対応については、中国を含む国際社会に対して、科学的根拠に基づき透明性をもって、政府として丁寧に説明してきました。
特に以下については改めて申し上げておきたい。
1月20日に公開した動画において言及したとおり、ALPS処理水に含まれるトリチウムは、雨水や海水など自然界にも広く存在し、水道水や食料を通して私たちの身体にも取り込まれます。
しかし、トリチウムは水と一緒に排出され体内には蓄積せず、食物連鎖で魚など水産物の中に濃縮されることもありません。
また、トリチウムは国内外の原子力施設においても、各国の基準を守った上で、海洋等に排出されています。
その量についても、東電福島第一原発からのトリチウムの海洋への放出予定量は年間22兆ベクレル未満としていることに対し、例えば、中国の秦山(チンシャン)第三原発では約7倍の143兆ベクレル、寧徳(ニンデ)原発では約5倍の102兆ベクレル、陽江(ヤンジャン)原発では約5倍の112兆ベクレル、紅沿河(ホンヤンヘ)原発では約4倍の90兆ベクレルの排出が行われています。
英国や韓国、アメリカなどでも同様の排出が行われています。
東電福島第一原発からのトリチウムの海洋放出は、放出後も、海水や水産物中のトリチウムのモニタリングを行い、モニタリング結果は、ウェブサイト上で分かりやすく情報提供する予定です。
消費者庁としては、今回の消費者意識の実態調査結果も踏まえ、内外の消費者の皆様に我が国の食品の安全性について正確に理解していただくよう、消費者とのリスクコミュニケーションの取組をさらに強化していきます。
(尾崎大臣政務官)
デジタル大臣政務官の尾崎正直です。
防災DXの取組について、私から説明申し上げます。
デジタル庁では、防災分野での民間の優れたサービスについて、昨年10月より公募を行ってきたところ、100件を超える応募がありました。
その結果を、現場が迅速に検索し、簡便に入手するためのツールとして使えるよう「防災DXサービスマップ」の初版として公表することとしました。
このマップは、平時、切迫時、応急対応、復旧・復興といった災害のフェーズごとに、どのようなサービスがあるか、一目で分かるようになっております。
各自治体には積極的に活用いただきたいと思います。
今後、サービスをさらに充実させ、マップの利便性を高め、優れたアプリ等の開発を促進していけるよう、昨年立ち上げた防災DX官民共創協議会とともに、取り組んでいきます。
なお、本年4月から行政機関がSaaSを調達するためのデジタルマーケットプレイスの実証を開始し、秋頃に実証サイトの公開を予定しているところですが、こちらに有償・無償を問わず優れた防災アプリ等を掲載し、行政機関による円滑な導入を後押ししていきます。
防災DXの力で、ひとりでも多くの命を守れるよう、自治体などの防災業務の効率化、迅速化の支援にしっかりと取り組んでいきます。