国連2.0
2022.04.17
プーチンによるウクライナ侵略が、戦争犯罪の様相を呈するようになりました。
本来、国連は、こうした事態に対処するためにつくられたはずの国際機関ですが、その意思決定に関わる安全保障理事会が機能不全に陥っています。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、こうした事態を前に国連改革を呼びかけています。
しかし、その国連改革そのものが、拒否権を持つロシアによってストップされかねません。
侵略者のロシアが拒否権を持つ常任理事国として安保理に座っているわけですから、無理もありません。
私も外務大臣として国連改革に携わってきましたが、現在の国連憲章を改正する国連改革あるいは安保理改革は非常に難しいと思います。
今こそ、我々は歴史に学ぶべきです。
18世紀に北米の13の植民地がイギリスから独立した時に、まず、連合規約(Articles of Confederation)が起草され、1781年に全州がこれを批准しました。
しかし、連合規約のもとでは中央の政府に徴税権や通商規制権などがなく、さまざまな問題が起こりました。
連合規約を改正するためには全ての州の全会一致が必要とされていたため、改正が実現せず、全会一致のルールを変えることも全会一致でなければ変えられないと、事態を改善することができませんでした。
そのため、各州の代表が集まって、連合規約にとらわれず、全く新しい連邦政府を樹立することにしたのです。
新しい憲法草案が起草され、これを各州で召集された憲法議会が批准をする、九つの州が批准した時に発効する、連合規約にある改正手続きは全て無視するということで、新しい合衆国憲法が誕生するのです。
国連でも、これまでの国連憲章を改正するのではなく、国連憲章2.0を作成し、国連憲章2.0を採択した国々が集まって、どの国も拒否権を持たず、侵略に対してはお互いに支援し合うという新たな国連2.0が発足することにしてはどうでしょうか。
既得権である拒否権を持っている国のなかでも、ロシアや中国、あるいはアメリカはいやがるかもしれません。
しかし、国際社会の秩序を乱されようとしている時に、国際社会が一致団結して、国際社会の平和と安定を守るために動く枠組みがあるのは大切だと思います。
国連2.0、必要です。