ドローンに関する規制改革
2021.12.07
この夏、ドローンに関する二つの大きな規制改革がありました。
1つ目は、「人口集中地区」におけるインフラ点検等の飛行許可基準の緩和です。
我が国では、製鉄所やコンビナートなどの大規模プラントの多くが、一定以上の人口密度を有するのある「人口集中地区」や、空港やヘリポートの周辺に立地しています。
これらの空域での飛行や、一般的に夜間飛行を行う場合は、国土交通大臣による許可が必要となり、原則、飛行の監視や注意喚起などを行う補助者の配置が求められていました。
しかし、設備点検用ドローンの自律飛行技術は、日々進歩しています。
こうした中、大規模プラントの広大な敷地内で、夜間を含めた設備点検飛行の都度を行う度に、監視や注意喚起などを行う補助者を配置することは、事業者にとって大きな負担になっているので、規制改革をしてほしいとの要望がありました。
そこで、直轄チームが国土交通省と調整し、第三者の出入が厳格に管理された敷地の上空において、ドローンが飛行経路を逸脱しないように、例えば、適切な長さおよび十分な強度の索でしっかりと係留するなどの措置を講じている場合や、仮想的な境界線で囲まれたエリアしか飛行しないジオ・フェンス機能を使用している場合、飛行高度と同じ距離の半径の範囲を超えて敷地境界に接近しない等の適切な措置が講じられていれば、「人口集中地区」や空港等の周辺であっても、夜間を含め、補助者なしの目視外飛行を可能とすることとしました。
国土交通省が、「インフラ点検及び設備メンテナンス用の標準マニュアル」を改正し、8月27日にホームページで公表いたしました。
これにより、大規模プラントにおけるドローンの利活用が一層拡大し、設備点検作業等の大幅な効率化が図られることが期待されます。
2つ目は、ドローンの飛行に関する連絡調整の合理化です。
ドローンを補助者なしで目視外飛行させる場合は、空中での衝突を防止するために、運航者は、原則、ヘリコプターなどの有人航空機の運航者が所属する団体や、緊急的な運航が予想される、各都道府県の警察、消防、さらに、ドクターヘリの運航者とも連絡、調整をしなければなりませんでした。
しかし、これら調整先の連絡窓口が必ずしも全て分かりやすいように公開されているわけではありません。
しかも、全国で約150にのぼる調整先窓口ごとに、連絡を受け付ける方法が、「電話のみ」もあれば、「FAXのみ」というところもあります。
さらに、受付方法がバラバラであるだけでなく、連絡すべき飛行情報の内容もそれぞれの窓口ごとに異なっています。
そこで、直轄チームが全国の連絡窓口と調整し、調整先窓口を一覧化し、国土交通省及び各所管省庁のホームページで公開しました。
さらに、各調整先への連絡方法についても電子メールに一本化したうえで、連絡すべき飛行情報の内容も、飛行日時や場所などの必要最小限の内容に統一しました。
これによりドローン運航者の利便性は相当に向上するはずです。
また、今回の合理化は、ドローンの飛行の申請のワンストップ化に向けた大きな一歩です。
また、今回の改革は、規制改革が新たな価値を生み出す好事例とも考えています。
現在、ドローンの飛行計画を入力すると、飛行予定経路周辺の天候情報、進入禁止空域情報、他のドローンの飛行情報等が提供される民間のサービスがあります。
ドローンの運航情報の申請が一元化、簡素化されると、ドローンの運行者に対するより多様なサービスが生まれることが期待されます。
今後とも、政府を挙げて、ワンストップ化に向けた取組を進めていきます。