自衛隊の糧食費
2021.11.19
自衛隊にとって、食事は重要です。
健康や体力に直結するだけでなく、隊員の士気にも大いに影響します。
2018年度まで、自衛隊の陸上勤務員の1人一日あたりの糧食費の単価は874円でしたが、2019年から25円増額され、899円となりました。
現在、艦船乗組員は1050円、学生・生徒は975円です。
また2019年度に調査経費1億円を計上し、隊員の食事の基礎となる「栄養摂取基準」の見直しに着手しました。
この「栄養摂取基準」は1971年に設定されたもので、設定から50年が経っています。
国立健康・栄養研究所に委託した自衛官の生理学的調査を含む調査研究が行われ、最新の科学的知見に基づいて把握された隊員に必要な摂取カロリーと栄養素を供給するに必要な糧食費単価を防衛省から予算要求することになりました。
今回の調査の結果、現行の基準はカロリーは過多、食品には不足しているものがあることがわかりました。
陸上勤務員の場合、現在のカロリー基準量は3300Kcalですが、新基準では3000Kcalとなりました。
これは二重標識水という特殊な水を摂取させ、その中に含まれる酸素が二酸化炭素として体外に排出される量を計測することで、エネルギー消費量を正確に測定することができるようになり、瞬間的なエネルギー量ではなく、より長期間における平均的なエネルギー量を測定できるようになったことをうけての改定です。
さらに、今回の改定で、27種類の栄養素(炭水化物、食物繊維、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミン12、葉酸、パントテン酸、ビオチン、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、飽和脂肪酸、n-6系脂肪酸、n-3系脂肪酸、エネルギー産生栄養素バランス、モリブデン)が基準に追加されました。
その結果、食糧構成基準量に砂糖・甘味類、種実類、きのこ類、油脂類の4種類の食品が追加されることになりました。
陸上勤務員の新しい食糧構成基準量は、肉類が100gから160gに、野菜類が300gから530gに、果物類が100gから140gに増量となり、他方、穀類は580gから570gへ、卵・乳類は265gから250gへ、魚介類は120gから95gへ、豆・芋類は240gから145gへ、調味料124gは75gへ減量となり、海藻・漬物類110gは藻類10gに改められました。
今後、こうした基準の見直しを受けて必要な規則が改正されることになります。
新単価は陸上勤務員932円、艦船乗組員1088円、学生・生徒1010円となり、糧食費の合計は2021年度の360億円から15億円増の375億円となります。