自動運転に関するさらなる規制改革
2021.04.18
自動運転に関する規制改革の報告です。
1点目は、歩行者用道路における自動運転バスの規制緩和です。
小型で時速20㎞未満の低速で走り、歩行者などを検知すると直ちに停止する自動運転バスがあります。
こうした小型低速バスは、すでにフランスなどで高齢者や障害者に対する交通手段として使われています。
しかし、日本では、道路交通法の規定により、歩行者用道路を車両が通行することはできません。
そこで、規制改革推進会議で議論し、車両が通行することを示す看板を道路に設置したりして、地域住民や歩行者への十分な周知が行われていることを前提に、事前の道路使用許可により、歩行者用道路で、低速の自動運転バスを走行させることが可能となりました。
2点目は、既存のバス停の活用です。
道路交通法第44条の規定により、バス停から10m以内は、既存の路線バス以外は、原則、駐停車禁止となっています。
このため、自動運転バスの走行を、実証実験として行う場合、わざわざ、自動運転バスとして実験的に駐停車できる旨の標識を製作、設置、撤去しなければなりませんでした。
そこで、路線バス事業者が実証実験を行う場合や、実験の実施主体と路線バス事業者が実験の目的や内容について合意していれば、自動運転バスが既存バス停を利用してもよいこととしました。
これにより、実験するために新たな標識の製作しなくてもすむようになります。
3点目は道路使用許可の規制緩和です。
遠隔操作による自動運転バスの実証実験を道路交通法上の道路で行う場合には、道路使用許可が必要となります。
公園、大学、遊園地内で実証実験する場合も、その道路が道路交通法上の「道路」に該当することがあり得ます。
しかし、それが「道路」に当たるか否かは、「個別具体の事情による」と曖昧に定義されていて、実証実験をおこなうにあたっての不安材料になっていました。
そこで、警察庁が、何が「道路」に該当するかについて、過去の事例を踏まえた考え方の資料を六月までに作成し、公表することとしました。
4点目も道路使用許可に関してです。
現在、遠隔で自動車の運転操作を行う「遠隔型自動運転システム」と、実際に車に乗りながらハンドル・ブレーキと異なるコントローラで操作する「特別装置自動車」があります。
こうした自動車で実証実験のために公道走行を行う場合、いかなる場合でも道路使用許可が必要になります。
しかも、特別装置自動車については、施設内審査・路上審査・公道審査の3つのステップを経る必要がありました。
特に公道審査にあたっては、同型車両であっても全台審査を受ける必要がありました。
また、実施期間が原則6か月と限られていたり、実施場所にも制限があるため、期間を延長したり、実証実験の内容に変更が生じた場合は、その都度、改めて審査を受ける必要がありました。
2020年12月から、施設内審査については、他の都道府県で合格していれば省略できることとなりました。
今回、それに加えて、道路使用許可に関する手続をさらに簡素化・合理化することとしました。
まず、路上審査について、監視や操作をする者の過去の走行経験や実証地域の交通環境等から、警察署長が路上審査を省略してもよいと認めた場合は、路上審査を不要としました。
公道審査についても、複数の同型車両を用いて実証実験を行う場合は、同一の自律走行ができるように設定が適切に行われていることなどが確認されれば、1台の審査でよいこととしました。
さらに、すでに公道審査に合格している区間を使って、実験期間を延長する場合などは、1台目の公道審査も不要とします。
私のもとには、「道路使用許可について、実証実験ばかりするのではなく、早く実用化すべき」との声も届いています。
自動運転に関するさらなる規制改革に取り組みます。