コロナウイルスの変異
2020.07.26
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、約3万の塩基から構成されるRNAウイルスです。
そしてこの3万の塩基の一つが約15.5日で変異すると言われています。
この変異を利用して、中国武漢発のゲノム情報を原点として、変異の過程をつないでいくことで、ウイルス株の親子関係を見ることができます。
国立感染症研究所では、これを公表しています。
https://www.niid.go.jp/niid/images/research_info/HMOVIEGIF2-s.gif
1月から2月の中国からの感染の波に由来するウイルス(武漢株)を基点にして、日本で「初期の国内クラスター」が発生しましたが、その後、消失しています。
また、ダイアモンド・プリンセス号で確認されたウイルスは、武漢株から塩基が一つだけ変異していましたが、この株はその後、検出されず、日本では消失したと考えられます。
3月に欧州からの同時多発の感染者の波に由来する欧州系統のウイルスが、その後、国内に拡散したと考えられています。
武漢株と欧州系統の特徴的な違いは、ウイルスの表面のスパイクと呼ばれる細胞にくっついて感染させる部分のタンパク質が1カ所(614番目)が、武漢株ではアスパラギン酸(D)だったものが欧州系統はグリシン(G)に変異しています。
このタンパク質の違いが感染力にどう影響しているか、世界中で研究が行われていますが、このゲノム変異が感染力や病原性に影響を与えているという明らかな証拠はないと厚労省は言っています。
最近の接待を伴う飲食店におけるクラスターで検出されているウイルスは欧州系統の株です。