ワシントンDC州兵
2020.06.12
最近のニュースにアメリカの首都ワシントンDCの州兵が登場していました。
私は学生時代にワシントンDCに住んでいましたが、ワシントンDCに州兵がいるということは知りませんでした。
アメリカの州兵とは、1636年、入植地を防衛するためにマサチューセッツ湾周辺で組織された「民兵組織」が起源です。
独立戦争、南北戦争を通じて、戦争の長期化による常備軍の兵力不足を補完する戦力として、民兵組織が拡大していきました。
1789年、米国憲法修正第二条で、民兵(militia)の存在が憲法上で規定されました。
そして1916年、民兵組織を受け継ぐ州兵(national guard)が法律で組織されました。
1947年には空軍州兵が創立されました。
陸軍州兵及び空軍州兵は、朝鮮戦争、湾岸戦争に従事し、2001年の同時多発テロ以降、大統領令に基づき、24ヶ月を超えない期間で連邦任務のために州兵が動員できることになり、アフガニスタン戦争、イラク戦争などに州兵も参加するようになりました。
州兵には、州知事の指揮下で、自然災害などの緊急事態に動員されて、事態への対処や住民支援を行う州任務と、州知事の指揮下で国内の議会、港湾、原発などの重要施設の警備などにあたる連邦任務と、大統領の命令で連邦政府の指揮下で戦争などにおいて補充戦力として任務にあたる連邦任務があります。
ワシントンDCの場合、アメリカ独立前にジョージタウンなどで組織された「民兵組織」が起源で、1802年にコロンビア特別区で大統領が民兵を編制する権限が法律で規定されました。
コロンビア特別区州兵(DCNG)は、連邦政府及び国家を守ることを任務とする唯一の州兵です。
指揮統制の権限は、大統領が持ち、実際的には国防長官への委任、陸軍長官へのさらなる委任を通じて指揮されます。
DCNGの予算は、100%連邦予算から支出され、州政府の資金を使わない唯一の州兵であり、指揮系統に地域の首長を通さない唯一の州兵です。
DC陸軍州兵は1350人、DC空軍州兵は1100人からなり、航空隊にはF-16も装備されています。