海賊対処行動

2020.02.09

地中海からスエズ運河を経由して紅海を抜けると、アデン湾に出ます。
 
そこからソマリア沖を通って、アラビア海、インド洋に抜けるのがアジアとヨーロッパを結ぶ海上輸送の大動脈です。
 
毎年、日本に関係のある約2,000隻を含む、およそ20,000隻の世界の船舶がここを通過します。
 
この海域に面するソマリアは1990年代から内戦状態となり、生業であった魚の輸出ができなくなった漁民が困窮から海賊に転じることが増え、2007年頃から身代金の高さに目をつけた地方軍閥までが海賊を始めるようになりました。
 
2007年10月には日本の海運会社が運航するパナマ船籍のタンカーが乗っ取られ、身代金を支払って解放されるという事件が起き、2008年には4月、7月、8月と立て続けに日本の海運会社が運航する貨物船やタンカーが襲撃され、人質がとられ、身代金を支払って解放されるという事件が起きています。
 
こうしたことを受けて、2009年3月13日、ソマリア沖・アデン湾における海賊行為対処のための海上警備行動を発令し、翌日、海上自衛隊の護衛艦2隻がソマリアに向けて出航しました。
 
国連海洋法条約では、公海上の海賊行為は、海賊船舶の国籍を問わず、いずれの国も管轄権の行使をすることが可能とされています。
 
一方で、海上警備行動による護衛対象は、日本国民の生命と財産、具体的には「日本と関係する船舶」に限られます。
 
このため、2009年6月に海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律(海賊対処法)が成立・施行され、護衛活動の根拠法を海上警備行動から海賊対処法に切り換えました。
 
海上自衛官には司法警察権が与えられていないため、海賊の逮捕などを行うために、護衛艦には8名の海上保安庁の海上保安官が同乗しています。
 
2013年12月から、自衛隊は、直接護衛に加えて、海賊対処を行う多国籍部隊CTF151に参加し、ゾーンディフェンスの実施を始めました。
 
直接護衛の場合は、まずアデン湾の東西に護衛対象の民間船舶の集合地点があります。
 
そこから護衛艦が同行し、また、護衛艦に搭載された哨戒ヘリコプターも上空から船団の周囲を監視します。
 
約900kmのアデン湾を2日で通過していきます。
 
海が穏やかで、海賊の活動海域が拡大する3月から5月と9月から11月の非モンスーン期は、護衛航路を東方へさらに約200km延長して護衛活動を行っています。
 
ゾーンディフェンスでは、CTF151司令部との調整に基づいて護衛艦が担当する海域が割り振られ、護衛艦がその海域の中にとどまって警戒監視を行います。
 
ジブチ共和国に活動拠点を置く哨戒機(P-3C)も、CTF151司令部と調整して定められた飛行区域内で警戒監視を行います。
 
また、バーレーンのCTF151司令部にはこれまで日本から3人のCTF151司令官を輩出し、今年、4人目の司令官が日本から派遣されます。
 
今年の1月20日から、ジブチを拠点とするこの派遣海賊対処行動航空隊(P-3C)は、中東における日本関係船舶の航行の安全に関する情報収集活動の任務も付与され、海賊対処に支障のない範囲で情報収集も行うことになります。
 
今後もこの海域での海賊対処活動に積極的に参加して、わが国として国際社会の平和と安定に一層貢献してまいります。
 



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