自衛隊の中東派遣

2020.01.28

我が国の原油輸入の中東依存度は約88%に達しています。
 
その内訳は、サウジアラビアが約40%、アラブ首長国連邦が約25%、カタール及びクウェートがそれぞれ約8%等となっています。
 
日本向けの原油の約8割はホルムズ海峡、オマーン湾を通過するといわれますが、この海域を通る日本関係船舶の数は年間約3900隻にものぼります。
 
海上原油交易量の約3割にあたる約1700万BPD(バレル/日)の原油がホルムズ海峡を通過すると指摘されています。
 
もしホルムズ海峡が通行不能になった場合、サウジアラビアを東西に横断する東西パイプラインと、アブダビのペルシャ湾側からオマーン湾側に抜けるアブダビ原油パイプラインの二本の迂回ルートがあります。
 
しかし、その二本のパイプラインの輸送余力は合計しても380万BPD程度といわれ、ホルムズ海峡を代替することはできません。
 
このため、ペルシャ湾からホルムズ海峡、オマーン湾に至る航路の安全な通行を確保することは日本の国民生活にとって死活的に重要です。
 
また、スエズ運河から紅海、バブ・エル・マンデブ海峡を抜け、アラビア海へ至る航路も、年間1800隻の日本関係船舶が通過する重要な航路です。
 
ペルシャ湾岸やバブ・エル・マンデブ海峡周辺ではタンカーをはじめとする船舶が攻撃されたり、原油生産施設が攻撃されたりという事案が起きています。
 
中東における緊張が高まる中で、ペルシャ湾の沿岸国はもちろんのこと、アメリカやヨーロッパ各国をはじめ、インドやオーストラリアなど中東のエネルギー資源に依存している国の多くが、この海域における航行の安全を守るための活動を行うことを表明しています。
 
原油の大半をこの地域に依存する日本としても、国際法及び憲法を含む我が国の国内法令等にしたがって、エネルギー供給を確保するためにできることを行う必要があります。
 
そこで日本政府は、こうした海域における日本関係船舶の安全確保のため、中東の緊張緩和のための外交努力をしっかりと続けていくとともに、船舶の航行安全のための措置を徹底し、さらに日本関係船舶の安全確保に必要な情報収集をするために、自衛隊を活用することとしました。
 
具体的には、不審な船の存在や不測事態の兆候をはじめ船舶の安全な航行を阻害するような事象についての情報を集めるということです。
 
そうした情報は、防衛省を経由して内閣官房、国土交通省、外務省など日本政府の関係部局や関係業界でも共有され、航行の安全に役立てられます。
 
そのために、これまでバブ・エル・マンデブ海峡東側からアデン湾の国際推奨航路上空を中心に海賊対処行動にあたっていた固定翼哨戒機(P-3C)の任務に、新たに情報収集活動を加えるとともに、オマーン湾からアラビア海北部の公海の範囲に、護衛艦を一隻派遣します。
 
固定翼哨戒機の活動に、大きな変化はありません。
 
これまで同様に、海賊や不審船などの、船舶の航行安全に影響を及ぼしかねない事象の発見に努めます。
 
また、護衛艦は、国際水路機関(IHO)が出版した「大洋と海の境界」が定めるオマーン湾と北緯12度以北のアラビア海に限定された海域で、情報収集活動を行います。
 
護衛艦に必要な補給もこの海域付近の港で行います。
 
ペルシャ湾やホルムズ海峡を情報収集活動の範囲から外したのは、中東の緊張緩和と情勢の安定化に向けた外交努力と調和させる必要があること、中東地域における広大な海域で効率的に活動をするためには海域を限る必要があること、米国や沿岸国を含む関係各国との連携を通じて必要な情報を入手できると考えられること等の理由からです。
 
中東における船舶の航行の安全確保という大きな目的を共有する国と必要な連携や意思疎通を行うことも重要です。同盟国である米国と情報を共有するとともに、沿岸国を含む関係国とも適切に連携・意思疎通していきます。
 
昨年12月に、こうした活動を行うことが閣議決定されてから、イランやサウジアラビアをはじめ、ペルシャ湾やオマーン湾の沿岸国と日本政府は緊密に意思疎通をしてきました。サウジアラビア、UAE、オマーンからは本年1月に安倍総理が訪問した際に支持や評価が示されました。
 
イランとの関係については、昨年12月にローハニ大統領が訪日した際に、日本の外交努力を評価し、自らのイニシアチブにより航行の安全に貢献する日本の意図を理解しており、さらに日本が透明性をもってイランに説明していることを評価する旨発言がありました。
 
日本政府として、日本の国民の平和な暮らしと日本経済を守るために、国際法及び憲法を含む我が国の国内法令等にしたがってできることをやります。
 
自衛隊を海外に派遣するというと、反射的に反対という声が一部から上がります。
 
危ないところに自衛隊を出すなという声があります。
 
しかし、依然としてこの海域には日本向けの原油を積んだタンカーが多く行き来しています。
 
自衛隊が行けないような海域をタンカーが航行しているのでしょうか。
 
自衛隊が行けば戦争に巻き込まれるという声があります。
 
湾岸諸国の中で、日本を敵対勢力だと考えている政権は一つもありません。
 
アメリカと対立しているイランは、長年日本と友好関係にあります。
 
現在、自衛隊が活動する地域で、自衛隊を狙って攻撃をする意図を持った政府はありません。
 
もちろん何かが100%起きないなどと言うことは誰にもできません。
 
しかし、国民の暮らしを守るために国際法及び憲法を含む我が国の国内法令等にしたがってできることをやったかという問いに対して、はい、と言えるように努力をしていきたいと思います。



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