防衛省の宇宙政策

2019.11.03

一般に、およそ上空100kmまでの大気圏内には領空の概念が適用され、その国に管轄権が認められます。
 
もっとも明確な境界に関する高さの定義はありません。
 
それ以上の高さは宇宙空間とされ、国家による領有は禁止されます。(つまり完全かつ排他的な主権を有することはできません)
 
宇宙は、すべての国が自由に利用することが可能です。
 
そして大量破壊兵器の宇宙への配置以外の宇宙の軍事利用は禁止されていません。
 
人工衛星を打ち上げることにより、地球上のあらゆる地域にアクセスすることが可能になり、幅広いエリアを一度にカバーするリモートセンシングや通信が可能になります。
 
高さ数百kmまでの低高度周回軌道には警戒監視や情報を集める情報収集衛星が、高度2万kmの中高度周回軌道にはGPSをはじめとする正確な場所を把握したり、ミサイルの誘導やシステムの時刻同期に利用される測位衛星が、高度3万6千kmの静止軌道には弾道ミサイルの早期探知に利用する早期警戒衛星や遠距離の部隊と通信する通信衛星が打ち上げられます。
 
「ミリタリー・バランス」によれば、軍事利用のための衛星は、中国は偵察衛星64基、測位衛星33基を打ち上げ、アメリカの偵察衛星43基、測位衛星31基を引き離しています。ロシアは偵察衛星10基、測位衛星25基を打ち上げています。
 
日本は、情報収集衛星7基の他に、測位衛星である準天頂衛星4基を打ち上げています。
 
日本では、昭和44年に「宇宙に打ち上げられる物体及びその打ち上げ用ロケットの開発及び利用は、平和の目的に限り、...これを行うものとする」という決議が衆議院本会議でなされ、自衛隊による宇宙開発利用は行うことができませんでした。
 
昭和50年代に入って、自衛隊の利用は、「利用が一般化している衛星及びそれと同様の機能を有する衛星について」は認められることになりました。(これを「一般化理論」と言います)
 
平成20年の宇宙基本法で、「宇宙開発利用は、...我が国の安全保障に資するように行われなければならない」とされ、平成21年の防衛省の「宇宙開発利用に関する基本方針」で、「今後は..安全保障分野での新たな宇宙開発利用について、従来の一般化理論の枠組みを超えた検討を推進する」とされました。
 
こうして安全保障を目的とした宇宙開発利用の積極展開が可能になりました。
 
一般化理論の下では、当時、普及が進んでいた商用衛星通信サービスなどを利用することができました。このほか、平成8年から米軍の情報を入手することがはじまり、平成10年には画像を入手する情報収集衛星の導入を決めました。
 
宇宙基本法の下で、平成27年から衛星搭載型2波長赤外線センサの製造が始まり、平成28年宇宙状況監視体制の構築が決定されました。
 
宇宙空間における宇宙ゴミの量は急速に増加しており、衛星がこれにぶつかる危険性が高まっています。
 
宇宙ゴミの除去や軌道上での修理や燃料補給などの技術は、そのまま衛星を破壊するキラー衛星に転用することができます。
 
中国やロシアは、低軌道の衛星の破壊を目的としたミサイルの導入を目指した実験を繰り返していると言われます。
 
また、衛星に搭載されたセンサーにダメージを与えるようなレーザー兵器や衛星の通信やGPS信号をジャミングする機能の開発も進めています。
 
また、軌道上で不審な動きをする衛星も報告されています。
 
有事には、目や耳となる衛星の無力化から作戦が始まるとも言われます。
 
そのため自衛隊は、航空自衛隊に宇宙領域専門部隊を設置し、情報収集、通信、測位などの能力を向上させるとともに、宇宙空間の状況を地上及び宇宙空間から常時継続的に監視する体制を構築します。
 
また、相手方の指揮統制・情報通信を妨げる能力を含め、平時から有事に至るあらゆる段階で、宇宙利用の優位性を確保するための能力の強化に取り組みます。
 
令和2年度に宇宙作戦隊(仮称)を空自に新編し、令和4年度までに宇宙状況監視システムを構築、令和5年度から運用を開始します。
 
また、遅くとも令和8年度までに宇宙状況監視衛星を打ち上げ、地上レーダーでは把握困難な静止軌道上の宇宙物体の監視を始めます。
 
JAXAや米軍と緊密に連携していきます。
 
米空軍宇宙コマンドが主催し、米英豪加NZ仏独が参加する宇宙安全保障に関する多国間机上演習(シュリーバー演習)に日本も参加しています。
 
これは、概ね10-12年先の将来を想定した宇宙に関する机上演習です。
 
防衛省は、宇宙に関する包括的日米対話、安全保障分野における日米宇宙協議、安全保障分野における日米豪宇宙協議、日豪宇宙協議、日仏包括的宇宙対話など国際的な協議を重ねてきました。



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