ホルムズ海峡
2019.07.26
ホルムズ海峡で緊張が高まっています。
ホルムズ海峡は、世界で最も重要な海上石油輸送のチョークポイントとなっています。
ホルムズ海峡を通過する原油の8割は、日中韓印星などアジア向けです。
日本のホルムズ海峡依存度は原油で87%、天然ガスで20%です。
ホルムズ海峡が完全に封鎖されると、原油供給の約1650万b/dが断絶します。
ホルムズ海峡を通過せずに輸出が可能なOPEC産油国は、アンゴラ、アルジェリア、エクアドル等限られており(イラン、ベネズエラ、リビアを除く)、これらの国の余剰生産能力は13万b/dと限定的です。
ホルムズ海峡を迂回するパイプラインはサウジアラビアとUAEが保有しており、理論上は680万b/dの最大輸送能力があります。
サウジアラビアの東西パイプライン 500万b/d
アブダビ原油パイプライン 150万b/d
アブカイク・ヤンブー天然ガス液パイプライン 30万b/d
ただし、既に使われている容量もあるため、余剰の輸送能力は約370万b/dにとどまります。
このほかにイラク・サウジ石油パイプラインがかつては原油輸送に使われていましたが、現在は、天然ガスの輸送に使われています。
つまり、万が一ホルムズ海峡が封鎖された場合、代替手段で原油の供給をまかなうことは不可能です。
IEAメンバー国は、ホルムズ海峡を1日に通過する原油の238日分にあたる約44億バレルの備蓄を保有しています。
この備蓄はこれまで湾岸戦争、ハリケーン・カトリーナ及びリタへの対応、リビア情勢への対応の3回放出されたことがあります。
日本の放出割当量は、全体の約12%にあたります。
日本の備蓄は、本年5月末現在、134日分の国家備蓄、92日分の民間備蓄、5日分の産油国共同備蓄の合計232日分があります。