北極海

2019.04.26

南極は大陸で、南極条約等が適用されます。

しかし、北極は、海なので基本的には国連海洋法条約をはじめとする国際法が適用されます。

この国会で、中央北極海無規制公海漁業防止協定という条約が審議されています。

この協定の対象となる中央北極海の公海水域は、現在、ほとんどが氷で覆われていて、商業的な漁業は行われていません。

協定でも「商業的漁獲が近い将来に中央北極海の公海水域において可能となりそうにない」と謳われています。

しかし、この協定の対象水域でも氷が減少していることが確認されていて、将来、もしこの水域全体について規制がないままに商業的漁獲が開始された場合、生態系に影響を及ぼす可能性が否定できません。

北極海の夏の海氷面積は、1980年代以降減少し、現在では、20世紀後半の約60-70%しか残っていないといわれています。

この水域にはタラやカレイをはじめ約300種類の魚が生息していると推定されています。

そのためこの水域における規制されていない漁獲をあらかじめ防止することを目的としてこの協定が作成されました。

この協定の対象となる中央北極海の公海水域の面積は約280万平方kmもあり、地中海(約250万平方km)をしのぐ大きさです。

北極海沿岸5カ国(カナダ、アメリカ、ロシア、ノルウェー、デンマーク(グリーンランド))が北極海の中央にある公海部分における漁業に関する議論を始め、この水域での漁業を行う能力のある五カ国、日本、韓国、中国、アイスランド、EUが加わって、協定が作成されました。

この協定は、発効後、16年間有効とされています。

16年というのはキリの悪い数字ですが、生態系を保護するために有効期間を長くしようという立場と環境の変化に柔軟に対応するために有効期間を短くしようという立場との間での交渉の結果の数字です。

その後は、異議申し立てのない限り、5年ごとに効力が延長されていきます。

日本は、この国会での承認を目指しています。



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