政府閉鎖
2019.02.02
アメリカの政府が閉鎖されるという状況が続きました。
私のカウンターパートであるポンペオ国務長官も政府閉鎖の影響で、ダボス会議への出席をキャンセルし、ダボスで会うことができませんでした。
アメリカで何が起きたのでしょうか。
アメリカの会計年度は10月1日からはじまり、翌年の9月30日で終わります。
そのため米国連邦政府の2019年度の歳出予算は2018年10月1日から始まり、2019年の9月30日に終わります。
アメリカ連邦政府の予算は総額でおよそ4.4兆ドル。
そのうち義務的経費(公的年金、メディケア、メディケイド等)及び利払費が約7割、約3.1兆ドルを占めています。
ここに関してはすでに予算が成立しています。
総予算の3割に当たる裁量的経費1.3兆ドルのうち、国防、軍事建設・退役軍人、労働・保健福祉・教育、エネルギー・水資源、立法の五分野に関しても予算が成立しています。この五分野で約1兆ドルです。
のこりの0.3兆ドル(連邦予算総額の約7%)に当たる七分野、つまり、国土安全保障、国務・対外活動、農業、運輸、内務・環境、金融、商業・司法・科学の予算がいまだ成立しておらず、この分野の支出ができなくなったことから政府閉鎖になりました。
アメリカの国家公務員は文民208万人、制服133万人、合計341万人ですが、その24%弱の約80万人がこれらの予算から給与の支払いを受けています。
アメリカ連邦政府は、2週間に一度、金曜日に小切手で給与を支払っていますが、その支払いができなくなりました。しかし、この約80万人のうち約42万人が基幹職員として位置付けられていて、無給でも勤務を続行していました。
最も論点となっているのが、「壁」予算を含む国土安全保障分野で、予算規模が約560億ドル(裁量的経費全体の約4.4%)、入管職員を含む職員数が24万人です。
1月25日の合意は、この七分野の予算を昨年度と同じ内容で2月15日まで三週間分を認め、政府閉鎖を解除したものです。
この期間に壁の予算に関する合意ができなければ、再び、政府閉鎖に追い込まれる可能性があります。