RCV
2018.11.08
アメリカで中間選挙が行われました。
上院では共和党が勝ち、下院では民主党が勝つというねじれになり、テキサス州でテッド・クルーズ上院議員と接戦を演じたベト・オルーク前下院議員が一躍、民主党の2020年の大統領候補の一人に躍り出ました。
そして今回、もう一つの注目は、メイン州で始まったranked choice voting、略してRCVです。
https://www.maine.gov/sos/cec/elec/upcoming/rcv.html
RCVは日本語では「順位付投票制」等と呼ばれますが、例えば1人区の選挙区に4人の候補者が立候補したら、投票者は、候補者の名前が印刷された投票用紙に、自分の支持する順に候補者に1から4まで順番を付けて投票箱に入れます。
開票では、まず全ての候補者に関して、1番の票を数えます。ここで誰かが過半数を取れば、その候補者が当選です。
もし、過半数を取った候補者がいなければ、1番の票が最も少ない候補者が脱落します。
その脱落した候補者に投票された票を、2番の投票先に分配します。そこで誰かが過半数になれば、その候補者が当選です。
もし、それでも誰も過半数を取らなければ、また、獲得票の最も少ない候補者が脱落し、その候補者が獲得した票を3番目の投票先に分配します。
そうやって、最も票の少ない候補者の票を誰かが過半数に達するまで、分配していきます。
オーストラリアではすでにこうしたやり方で、選挙が行われています。
アメリカでもいくつかの州では、過半数を取った候補者がいない時、上位二人の候補者で日を改めて決選投票(Run-off)を行っています。
RCVではすでに順位がつけられていますから、あらためて有権者が投票する必要がなく、Instant Run-offと呼ばれたりもします。
メイン州では2001年からこのRCVを導入しようという動きがあり、今回、ようやくこの投票方式が連邦議会の上下両院の選挙で導入されました。
しかし、メイン州知事やメイン州議会の選挙に関しては、メイン州憲法で「plurality(最高得票)」で選ぶと書かれているため、違憲の可能性があるということで使われませんでした。
こうした動きが全米各州に広がるかどうかはわかりませんが、一つの試みです。
こうしたことが州単位で起こるのがアメリカの面白いところです。
今回、メイン州では連邦議会の上院と下院第一選挙区では1番の票で過半数を取った候補者が出ましたが、下院第二選挙区では再会の候補者の票の分配が必要になりそうです。