日韓請求権・経済協力協定

2018.11.21

日韓請求権・経済協力協定に関して、ミスリーディングなニュースが流されていますので、きちんと説明をしたいと思います。

日韓請求権・経済協力協定は、日韓間の財産・請求権の問題を一括して解決するとの方針にしたがって日韓両国で合意されたものです。

この協定によって、個人の請求権を含めた日韓間の財産・請求権の問題は完全かつ最終的に解決されました。

日韓両国は、請求権・経済協力協定第二条1で、請求権の問題は完全かつ最終的に解決されたものであることを明示的に確認し、第二条3で、一方の締約国及びその国民は、他方の締約国及びその国民に対する全ての請求権に関して、いかなる主張もできないとしていることから、個人の請求権は法的に救済されません。

この個人の請求権は法的に救済されないということはどういうことでしょうか。

日韓請求権・経済協力協定そのものが、この協定でいうところの個人の財産や請求権を消滅させたわけではありません。

この協定を実施するために、日本では「財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定第二条の実施に伴う大韓民国等の財産権に対する措置に関する法律」という国内法を制定し、この法律によって、法律上の根拠に基づき財産的価値が認められる全ての実体的権利、つまり財産、権利及び利益を消滅させました。

日韓請求権・経済協力協定でいうところの請求権、つまり法律上の根拠の有無自体が問題となっているいわゆるクレームを提起する地位を指す概念は、この実体的権利には含まれていません。

そのため、個人の請求権は日韓請求権・経済協力協定や国内法で消滅したわけではありません。

しかし、日韓請求権・経済協力協定により、一方の締約国の国民の請求権に基づく請求に応ずるべき他方の締約国及びその国民の法律上の義務が消滅し、その結果、救済は拒否されます。つまり、こうした請求権は権利としては消滅させられてはいないものの、救済されることはないものとなりました。

しんぶん赤旗電子版は、2018年11月15日号にこう載せています。

『河野太郎外相は14日の衆院外務委員会で、韓国の元徴用工4人による新日鉄住金に対する損害賠償の求めに韓国大法院(最高裁)が賠償を命じた判決(10月30日)をめぐり、1965年の日韓請求権協定によって個人の請求権は「消滅していない」と認めました。

日本共産党の穀田恵二議員への答弁。大法院判決について「日韓請求権協定に明らかに反する」としてきた安倍政権の姿勢が根本から揺らぎました。』

「個人の請求権は消滅していない」ということは以前から答弁していることですし、個人の請求権は救済されないということにはなんら変わりはないわけですから、何かが根本から揺らいだわけではなく、極めてミスリーディングです。

さらにこの記事は続けて、

『また穀田氏は、大法院判決で原告が求めているのは、未払い賃金の請求ではなく、朝鮮半島への日本の植民地支配と侵略戦争に直結した日本企業の反人道的な不法行為を前提とする強制動員への慰謝料だとしていると指摘。

これに関し柳井条約局長が、92年3月9日の衆院予算委員会で日韓請求権協定により「消滅」した韓国人の「財産、権利及び利益」の中に、「いわゆる慰謝料請求というものが入っていたとは記憶していない」としたことをあげ、「慰謝料請求権は消滅していないということではないか」とただしました』

請求権は国内法で消滅させてはいませんが、請求権が救済されないということは、常々申し上げてきたとおりです。

衆議院外務委員会で何か新しいことがあったわけではありません。



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