戦時加算
2018.07.17
日EU・EPAの中で、また一つ、戦争の整理に関し、前進がありました。
サンフランシスコ平和条約の中に著作権の保護に関する戦時加算という条項があります。
1886年に作成された著作権保護のためのベルヌ条約に日本も1899年に加入しました。
ところが太平洋戦争が始まった1941年12月8日からそれぞれのベルヌ条約加盟国とのサンフランシスコ平和条約の発効の前日まで、日本は連合国民の著作権を保護していなかったとみなされ、サンフランシスコ平和条約に基づき、その期間を日本における著作権保護期間に加算して保護することとされました。
例えば、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、フランスなどの国民が戦争開始前から著作権を有していた場合、3,794日が日本における著作権保護期間に加算されることになります。
そのため日本では、こうした国の著作者が亡くなってから50年の保護期間に加えて、この戦時加算日数を加えた期間が著作権保護期間になっていました。
ところで、TPP12協定では、著作権保護期間を70年とすることで合意しました。
これを受けてTPP12協定に参加した戦時加算対象国(アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド)との間で、70年の保護期間が従来の50年に戦時加算を加えた期間より長くなることを踏まえて、この問題への対応をするための対話を権利者と権利管理団体の間で行うことを奨励するとともに、必要に応じて政府間でも協議を行うことを政府間書簡で確認しています。
そしてこのTPP12協定の際の政府間書簡と同様の内容を、日EU・EPA交渉に際し、イギリス、フランス、オランダ、ベルギー、ギリシャと政府間書簡で確認しました。
ようやく戦争の整理に関し、また一つ前進させることができました。