G7外相会議
2018.05.04
G7外相会合、NPT運用検討会議第二回準備委員会、シリア支援国会合と三つの会議をはしごする出張でした。
4月21日
16:10 宿舎発
トロントは寒いとの情報で一番厚手のコートを急遽持っていきます。
17:40 羽田発
機内では映画「デトロイト」を一本見て、あとは必死に寝ます。
最近は目隠しと耳栓でかなりぐっすり眠れるようになりました。
16:45 トロント着
快晴!
次官級で行われているG7外相会合の声明文の調整が続いているとの報告。
18:05 日加ACSA署名式、日加外相会談@トロント大学
先月に続いてのフリーランド外相との会談です。
議長としてのフリーランド外相と声明文の調整を行います。
19:00 アウトリーチ外相向け夕食会@ジョージレストラン
いきなり今回のG7の目玉の一つ、アウトリーチ夕食会です。
今回のG7外相会合の特徴は、ジェンダーを重視するカナダらしくジェンダーがそこここに散りばめられています。
開会前夜の夕食会は、フリーランド外相とモゲリーニEU外相のアイデアで、今回の外相会合のアウトリーチは世界の女性外相を集めるのがテーマです。
パナマ、ガーナ、クロアチア、コロンビア、ジャマイカ、エクアドル、グアテマラの外務大臣に加えてトルドー加首相が任命したG7のジェンダー平等アドバイザリー委員会(GEAC)のメンバー、そしてさまざまな分野で活躍している若いカナダ人女性とフリーランド外相の女性補佐官。
そこになぜか唯一の男性として私が招待されました!
カナダの若い女性代表のうち二人は、シリア移民。一人は空手の世界ランキング第二位で東京オリンピックを目指しています。
他には社会活動家など。
NATOの国防大学学長のホワイトクロス准将や日本から林陽子氏がGEACのメンバーとして参加されていました。
フリーランド、モゲリーニの二人から、次は国連総会の直前にカナダで女性外相を全員集めた会議を開催するとの宣言がありました。
非常に楽しい夕食会でした。
フリーランド外相は、スパッツ姿で自転車で会場に乗り付け、自転車にカギをかけてからドレスに着替えてさっそうと登場しました。
EUのなかでは女性の外相はまだ数人ですが、仏、独、伊、西をはじめ国防大臣の約半数が女性です。
4月22日
07:30 打ち合わせ
08:15 日仏外相会談@インターコンチネンタルホテル
ルドリアン外相とのバイの会談で一日が始まりました。二人の日程のスキマを探したら、朝八時十五分からになりました。
09:15 アウトリーチブランチ(ウクライナ)@フリーランド加外相私邸
フリーランド外相の私邸でのブランチでG7外相会合がスタートしました。
セミデタッチと呼ぶのでしょうか、二軒が横につながっている家で、その一階に大きなテーブルを入れてのブランチです。
私邸で、お子さんたちが料理するものをG7外相が食べるという、なんてアットホームなブランチでしょうか。
彼女は小さいころ両親が忙しく、ウクライナ移民のおばあちゃんにウクライナ語で育てられたそうです。
フィナンシャルタイムズの記者として活躍した後、政界入り。
家では、夫とは英語で、三人の子供とはウクライナ語で会話しているそうです。
最初の三十分はG7の外相での社交のブランチでしたが(ジョンソン英外相はまだ飛行機の中)、三十分後にウクライナのクリムキン外相が参加してからはウクライナ問題がテーマのワーキングブランチ。
今回の外相会合は、ジェンダーと共にウクライナ、ロシア、そして中国がそこここで議題になりました。
子供たちは、この日のために練習したというワッフルとチーズケーキをふるまってくれました。さらに、スモークサーモンとポーチドエッグが仕出しで。お腹いっぱいです。
ちなみに今回のG7に関連する場所はすべてフリーランド外相の選挙区でした。
11:15 G7外相会合オープニング@以下トロント大学
トロント大学でG7外相会合スタートです。
カナダでの会合は必ず、先住民による歓迎の歌、言葉から始まります。
そして、会議場がすごく寒い!休憩時間に廊下に出ると暖かくてほっとするという状況です。
11:20 アウトリーチセッション(ジェンダー・女性エンパワーメント)
前夜の夕食会メンバーが参加して、ジェンダーの議題からスタートです。
ボリス・ジョンソン英外相も到着しました。
13:00 休憩
声明文の調整はまだ続いています。イギリスと調整が必要な箇所が残っています。
ボリスを捕まえて、後で二人で調整しようということになりました。
13:15 ワーキングランチ(ロシア・ウクライナ)
ウクライナから議論がスタート。そして、ロシア問題に流れます。
化学兵器については、シリアにおける調査メカニズムの延長が安保理で否決され、きちんとした調査ができはなくなったということを受けて、恒常的な調査メカニズムを設立する必要があると私の主張を述べました。
14:15 休憩
14:30 ワーキングセッション1(中東)
シリア、イラン、パレスチナなどが議題に。
サウジアラビアの改革をG7としても支持すべきだと主張しました。
15:45 日英外相立ち話
立ち話というのは外交用語で、会談というほど形式ばっていないということで、実際には座って話をします。
ミャンマー問題等に関して、ボリスと二人で話をします。彼はミャンマーとは言わずに、なぜかビルマと言います。
ボリスは一月の北朝鮮に関するバンクーバー会議でも、タローはラカイン州に行ったらしいな、どうだったんだと聞いてきて、その後、全く同じコースでラカイン州を視察しています。
電話会談でもたびたびミャンマーの話をしてくるぐらいに関心を強く持っていますが、ここでは、わかったタローのいうとおりにしようと言ってくれました。
この後もたびたびミャンマーについて二人で話す機会があり、最後はトロントの空港で、日英でミャンマー問題に協力して当たろうじゃないかと言ってきました。
16:00 ワーキングセッション2(北朝鮮・軍縮不拡散・ミャンマー)
北朝鮮は私がリード、ミャンマーはフリーランド外相がリードということで議題が進みました。
北朝鮮については、全員同じ意見でしたので、短時間で次の議題に進みました。
17:30 トロント大学発
17:50 ぶら下がり記者会見@宿舎二階
ぶら下がりの記者会見。いろいろなテーマがありましたが、日本の記者の質問は北朝鮮に集中しました。
時間が短かったですがという質問がありましたが、意見に違いが全くなかったのでと答えました。しかし、どうしても意見に違いがあるように主張したいメディアがあるようで...
18:05 休憩
19:00 文化行事@以下王立オンタリオ博物館
王立オンタリオ博物館、通称ROMでの夕食会の前に、先住民の展示についての解説がありました。
19:45 合同ワーキングディナー(中国・海洋安全保障)
ハドロサウルスの化石が横目で見ているホールで、外相と次官級PD(Political Director)の合同の夕食会です。
話題は中国と海洋安全保障。海洋も東シナ海、南シナ海が中心になり、結局、中国が話題の中心でした。
経済的にはロシアは非常に小さく、経済的、貿易的な影響力は中国とは比べ物になりません。
つまり、それだけ中国がきちんと国際的な秩序のなかで振る舞えるかどうかが大きな問題になります。
欧米は、特に最近、ロシアに非常に注目しますが、長期的には中国の振る舞いを注視する必要があります。
21:35 王立オンタリオ博物館発
4月23日
07:00 打ち合わせ
07:30 サリバン米国務副長官との会談@インターコンチネンタル
北朝鮮に関する情報交換は、日米韓の様々なレベルで毎日のように行われています。その他にイランや経済などに関しても意見交換しました。
08:30 ワーキングセッション3(アフリカ・人の移動・ベネズエラ)
ベネズエラに関してかなりの時間を割いての議論になりました。
南米は民主主義が定着しつつありますが、その中で、ベネズエラは異質です。しかも150万人を超えるベネズエラ国民がコロンビアをはじめ隣国に避難し始め、周辺国の負担が大きくなっています。
その他に、チュニジアやサヘルに関しても議論しました。
09:45 休憩
10:15 ワーキングセッション(紛争予防・国連の平和構築)
国連の平和構築のためには安保理改革が必要だと日本の主張を訴えましたが、反応はいまひとつ。
このセッションで外相単独の会合は終了し、午後は治安担当大臣との合同セッション。日本からは小此木国家公安委員長が加わります。
12:10 日独外相会談@インターコンチネンタルホテル
ドイツの新外相、ハイコ・マース外相との初めての会談です。
フリーランド家の子供が私にだけサインを求めてきたのはなぜなんだと、ちょっとやきもちを焼いているような。
12:30 声明の取りまとめ
声明の取りまとめは終わっているはずだったのが、再度調整が必要になったようで、トロント大学に戻れというカナダ側からの要請が。
PDレベルで話がつかず、外相同士での調整が必要だという判断のようです。
マース独外相は飛行機の時間があるので戻れないと、ドイツはPDがトロント大学に戻ります。
ところが戻ったら、調整がついてフリーランド外相の議長記者会見がスタートしていて、それじゃあとインターコンチネンタルホテルに戻ります。
この時間にトロント市内を散策しようと思っていたのですが、それもできずに終わりました。
13:30 合同ワーキングランチ(民主主義の強化・過激主義者の移動)
1時間遅れで午後のセッションがスタート。
東京オリンピック・パラリンピックを前に昨年の国連安保理決議にうたわれたPNRとAPIの情報交換の必要性を訴えますが、EUは個人情報保護の観点からPNRの提供は容易ではないとの立場です。
15:00 フォトセッション
15:30 インターコンチネンタルホテル発
17:30 トロント発
トロントからジュネーブ、所要10時間ということで、ぐっすり機内で眠れるなと思っていたら、モントリオールで一度降ろされるということがわかりました。
結局、モントリオール・ジュネーブは7時間弱。結局、眠れるのは5時間ぐらいになりそうです。
18:30 モントリオール着
19:30 モントリオール発
4月24日
09:50 ジュネーブ着
10:10 休憩
シャワーを浴びて着替えます。
11:40 打ち合わせ
12:20 国連欧州本部着
12:30 NPT運用検討会議第二回準備委員会一般討論演説
賢人会議がまとめた提言について、その内容を一般討論演説で紹介します。
ジュネーブでは、ニューヨークと違って演壇からではなく、自席から演説します。カメラが議場に入り込み、話しているすぐ前で撮影しています。
12:50 中満泉国連軍縮担当上級代表との会談
中満上級代表との会談。化学兵器の恒常的な調査メカニズムについても提起しました。
13:15 核軍縮の実質的な進展のための「賢人会議」サイドイベント
日本の賢人会議の提言の内容を説明するサイドイベント。サイドイベントといいますが、休憩中の本会議場を使ってやります。
13:35 ブガイスキー第二回準備委員会議長との会談
この第二回準備委員会の議長との会談。ポーランドの在ウィーン代表部大使です。
14:05 ぶら下がり取材
記者団は、NHKを除いてトロント組とヨーロッパ組に分かれて同行してくれました。その方が飛行機代が安いようです。
14:20 NPDIメンバー国首席代表との意見交換
15:20 国連欧州本部発
15:30 アゼベドWTO事務局長との会談@WTO
新たなeコマースの議論の枠組みや知的財産権などについての意見交換。
WTO本部は、レマン湖沿いのいかにもスイスという風景の中にありました。
16:05 WTO発
17:10 ジュネーブ空港発
18:30 ブリュッセル着
19:00 ブリーフィングを兼ねた夕食会@大使公邸
ヨーロッパ的な木立に囲まれたかわいい公邸です。
とてもおいしい夕食でした。
21:30 同行記者団との懇談
海外に同行してくれる記者とは必ず懇談会をやることにしていますが、トロントでは時間がなくてできませんでした。
私はコーラ、記者はビールを飲みながら一日を振り返ります。
4月25日
07:40 打ち合わせ
08:45 EUリプシウス庁舎着赤絨毯経由ヨーロッパ庁舎へ
赤絨毯を歩くなんてアカデミー賞みたいだなと思いましたが、この赤絨毯沿いにカメラとマイクが並び、ここで記者の質問に答えるようになっています。
私はほぼ最初に会場に到着したので、飢えた記者団のカメラとマイクを独り占めすることになりました。
09:00 シリア支援国会合(ブリュッセル2)開会セッション
ドイツ、イタリア、フィンランド、イラン、イラク、ノルウェー、ヨルダン、カタール、ルクセンブルク等の外相やWFPのビーズリー事務局長等、こうした国際会議でも顔なじみに声をかけられるようになりました。
10:00 集合写真
10:15 第一セッション
10:50 日ヨルダン外相会談(-11:15)
ヨルダンのサファディ外相とは頻繁に会っています。今回も、さまざまな機微な情報を交換しました。
12:15 第一セッションでのスピーチ(-12:20)
アジアからの外相の参加は私一人ということもあり、モゲリーニEU外相から随分丁寧な紹介を受けてのスピーチになりました。
シリア問題に関してスピーチをした後、最後に、各国からの拠出を受けての人道支援は、早晩行き詰まる可能性があり、国際的な税を創設することを議論すべきだと訴えました。
12:50 ハリーリ レバノン首相への表敬
若きレバノンの首相ですが、私とはいろいろと縁があります。
ハリーリ首相の父、故ハリーリ元首相に2003年にお目にかかったことがあります。盲腸の手術後で、パジャマ姿で失礼と笑っておられました。
また、私のかつてのスタッフの一人がハリーリ首相のいとこと結婚していたこともありました。
シリア難民が多くレバノンに避難していることもあり、経済的、社会的にも大きな負担になっています。
そんな情勢に関して話し合った後、ニコッと笑って、日本が立候補している国際選挙に関して、レバノンの票はいらないか。
ご支持、ありがとうございます。
13:15 ぶら下がり記者会見
13:25 ソーシャルランチ(-13:45)
立食のランチです。マトンが美味しくて。
13:40 街中を散歩
20年ぶりに小便小僧を見に行きました。一度見ているのでがっかりはしませんでした。
昔のショッピングアーケード街が「ヨーコ・ツノ通り」と命名されていました。
ヨーコ・ツノはベルギーの有名な漫画の主人公だそうです。
15:30 モゲリーニEU外相との会談@EEAS庁舎
EEASとはEuropean External Action Serviceの略。
モゲリーニEU外相とよんでいますが、EUメンバー国には外務省、外務大臣ということに抵抗があるようで、それでEEAS、上級代表というのが正式名になっています。
日EU・SPAの交渉妥結が実現してよかったという話をしていてふと卓上を見たら、用意されたミネラルウォーターの名前が「SPA」。凝ってるなと思いましたが、偶然でした。
16:00 EEAS庁舎発ヨーロッパ庁舎へ
16:25 日イラン外相会談
イランのザリーフ外相との会談。JCPOA(イラン核合意)についての意見交換が中心です。日本は、保障措置分野の研修の実施を調整しています。
さらにアゼルバイジャンでのイラン・北朝鮮外相会談の様子についても話しました。
17:00 ヨーロッパ庁舎発ベルレモン庁舎へ
17:20 マルムストローム欧州委員(貿易担当)との会談
日EUEPAの署名に向けての準備が進んでいます。
アメリカの通商拡大法第232条やWTOに関しても意見交換しました。
17:55 ぶら下がり記者会見
EUの旗をバックに記者会見。
18:25 夕食@ル・ズィネッケ
名物のムール貝を食べに。シーズン末ですが、デンマークからムール貝を取り寄せているそうです。
バケツ一杯の漁師風ムール貝とフリット(フレンチフライ)で腹いっぱいに。
19:50 空港へ
21:10 ブリュッセル発
4月26日
15:40 成田着