いわゆる「ロヒンギャ」問題
2018.03.09
最近、ニュース等で「ロヒンギャ」と呼ばれる人々のことが取り上げられます。
「ロヒンギャ」とは、ミャンマーのラカイン州に住むイスラム教徒の人々のことを指します。
ミャンマーの国民は圧倒的大多数が仏教徒で、イスラム教徒である「ロヒンギャ」の人々は村ごと焼き討ちにあったりして、そのほとんどが国境を超えてバングラデシュに避難しています。
実はミャンマー政府は彼らのことを「ロヒンギャ」とは呼びません。「ロヒンギャ」という呼称はそう呼ばれる部族がいることを示唆しますが、ミャンマー政府は「ロヒンギャ」という部族は存在しない、彼らは国境を超えてきて住み着いたベンガルのイスラム教徒だと主張しています。
日本政府は、この問題になるべく中立的な立場で関与するために、ロヒンギャという言葉を使わず、「ラカイン州のイスラム教徒」と呼ぶことにしています。
この問題を平和裏に解決するためにはミャンマー政府が当事者としてしっかり関与することが必要です。
欧米各国は、ともすればミャンマー政府や軍を加害者として責めがちで、国連の調査団を受け入れるようミャンマー政府に求めています。
ミャンマー政府や国軍は、これに拒否反応を示しています。
アウンサン・スーチー氏が率いるミャンマーの民主化政府はまだ、よちよち歩きをはじめたばかりです。
ラカイン州のイスラム教徒の帰還には、イスラム教徒とミャンマー国民の大多数を占める仏教徒の間に信頼関係を築いていく必要があります。その前に無理をすれば、民主化の歯車が逆戻りしかねません。
日本政府はミャンマー政府を民主化に向けてしっかり支援すると同時に、ラカイン州で仏教徒、イスラム教徒、そしてヒンズー教徒が信頼関係を築きながらコミュニティを再生できるように支援していこうと考えています。