アメリカの議員との一週間

2017.04.15

9日の日曜日の夜から、アメリカの連邦議会の上下両院議員の16名と一緒に行動しています。

日本の議員を代表して、全行程に参加してほしいという要請をもらった時には想像もできなかった1週間になりました。

東京で、日曜日の夜のディナーから水曜日まで過ごし、木曜日から土曜日までソウルという日程です。

東京では、朝8時の朝食からスタート。朝食では雑談していますが、9時からのセッションは11時から15分のコーヒーブレークを挟み、午後1時まで4時間続きます。

すぐに昼食になり、在東京米国代理大使などが講演し、そのまま質疑応答。

2時半から午後のセッションがスタートし、コーヒーブレークを挟んで延々と夕食まで続きます。

夕食は少しリラックスしながら、アメリカの議員同士も選挙区事情を話したり、トランプ大統領についての意見を交換したり。

下院議員でも2年ごとの選挙には数億円の資金が必要になるようで、それぞれの議員は常に資金集めをしている日常のようです。しかも、今回参加している議員はほぼ全員が自分が属する政党が強い地域の選出で、選挙に強いと言われている議員です。

テキサスなどは常に選挙区割りが変更され、選挙のたびに選挙区が変わっているとこぼしていました。

そして翌日はまた8時から...

しかもアメリカでよくあるように、自分がパネリストになると、最初に6分間のプレゼンテーションのための時間が与えられ、3人から4人のパネリストのプレゼンテーションが終わると、あとは延々と質疑応答、サンドバッグ状態です。

16人の議員のほぼ全員が発言し、中には何度も突っ込んでくる議員もいます。もちろん議員同士の議論がヒートアップすることもありました。

議員以外にもクリストファー・ヒル元駐韓米国大使・元6か国協議米国首席代表やデニス・ブレア元米国国家情報長官・元米国太平洋軍司令官をはじめとするアメリカ、日本、韓国、中国から「スカラー」と呼ばれる有識者が参加していて、全員を巻き込んだ中身の濃い議論になります。

この会議の目的が米国の議員に東アジアの状況をしっかりとみて、理解してもらうことなので、アメリカの議員の発言が最優先されますが、スカラーも少し遠慮しながら、ガンガンいきます。

TPP・経済のセッションでパネリストを務め、エネルギーと原子力のセッションとソウルでの北朝鮮問題のセッションで「スカラー」として積極的に議論に加わりました。

特にTPPのセッションはヒートアップし、民主党、共和党という党派を超えて賛否が分かれていること、同じ州でも選挙区事情が異なれば意見も違うことが浮き彫りになりました。

人口減少に伴う有効求人倍率の上昇によって、失業よりも採用を心配しなければならない企業が多い日本と違って、アメリカは選挙区内での失業率が大きな問題になりますし、議員一人ひとりの投票行動がクローズアップされない日本と比べ、アメリカでは議員一人一人の投票行動の説明を求められることなどがTPPに対する議員の考え方にも影響しています。

衆議院の本会議での議員の投票記録がないことはアメリカの議員にとっては大きな驚きだったようです。

TPPに代わり日米のFTAではどうかという突っ込みには、多国間交渉と違って2国間では交渉結果が勝ち負けという形でとらえられやすく、なかなかまとまりにくい。また、日米は知的所有権や環境等など、同じようなスタンダードを維持しているため、TPPのようにそこにアジアの国を巻き込むというメリットが得られない。

TPPが棚上げになった今、アセアンをはじめ各国はRCEPに向けて走り出そうとしている。TPP離脱は戦略的な大失敗だとかなりはっきり、批判しました。

RCEPに入ればよいのではという質問も出て、中国が入るRCEPではTPPのような21世紀型の質の高い協定にはならないことははっきりしている。TPPは単なるモノの自由貿易ではないと注意を促しました。

トランプ大統領が先制攻撃に触れるなどの状況で、ソウルに場所を移した北朝鮮の議論は白熱しました。

北朝鮮がアメリカを射程圏内に入れたミサイルを開発したとしても、それを使うとは考えにくいのではないかという議論もありました。

北朝鮮のミサイルはアメリカにとって脅威ではないが、それがアジアの同盟国のアメリカからの離反と中国への接近につながることが問題なのだという声がありました。

アメリカは自らに犠牲が出ることを覚悟して、核の傘を本当に機能させられるのかが問題なのだと核の傘の信頼性を取り上げました。

日本には数万人の米軍とその家族、その他にもビジネスマンなど多くのアメリカ人が滞在しているので、確実に核の傘を機能させるだろう。数発のミサイルならば確実に迎撃できるし、多数の核兵器が使われかねない状況なら確実に報復するという意見が多数のようでした。

しかし、それをどう日本国民に確実に伝えられるのかが今後の課題です。

日本の外務省のようにあいまいなのが戦略だというようなことでは通用しない、必要なら核兵器を搭載できる戦略爆撃機や潜水艦を見える形で日本に派遣したらどうかという意見もありました。

北朝鮮から亡命した北朝鮮の駐英代理大使も夕食に参加しましたが、マレーシアでの暗殺事件の後で韓国側のセキュリティが非常に厳しく、夕食前の意見交換がアメリカの議員だけに限られてしまったのが残念でした。

ジョージタウン大学でのマデリン・オルブライトゼミを思い出させる、英語での議論漬けの1週間でした。



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